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Chthonic 「Supreme Pain for the Tyrant」

Chthonicの『Bu-Tik』がリリースされてから約2週間。
家にいる時間が少ないとは家にいるときは未だに垂れ流し状態で、
もう数十回は確実に耳にしていると思う。

リアルタイムでこんなアルバムに出会える体験ってめったにないから、
凄く幸せなことなんだろうな。


今回はアルバムを取り巻くコンセプトのことについて書いてみる。

インタビューで語られている通り、このアルバムのコンセプトは、
「正義のための戦い」「正当な理由がある防衛」であり、
過去の台湾の歴史上で起こった「闘い」が時代を超えて、各曲の中で描かれている。

その中で気付くのは、繰り返される闘いの歴史、というテーマ。

アルバムのイントロには「Arising Armament」というタイトルが付けられている。
耳慣れない言葉だけど「Armament」は「軍備」。
一方でアウトロのタイトルは「Undying Rearmament」。
「Rearmament」は「再軍備」。更にいうと「undying」は「終わることのない」との意味。

どちらのインストも打楽器をメインとした攻撃的な曲。
どことなく台湾の原住民が闘いに向かう前のシーンを連想させる。
ホラ貝の音色なんて、正に戦闘に向かうイメージにぴったり。

ライナーノーツに述べられている通り、この二曲には同じフレーズが使われている。
イントロからアウトロへ、そしてまたイントロへとループするような構成になっている。
「Undying Rearmament」の意味が示す通り、このアルバムで描かれているのは、
決して終わること無い闘争の歴史であることを示唆している。

「Supreme Pain for the Tyrant」の最初に
「Endless nightfall, swallow the sun」というフレーズが出てくる。

「sun」には様々な意味を込めていると思うんだけど、
一つの比喩として「台湾の明るい未来」そして「自由」という意味を込めていると想像できる。
一方で「sun」を飲み込む情景となる「nightfall」は「台湾の暗い歴史」そして「抑圧」。
終わりのない「nightfall」は闘いの続く台湾の歴史を指し示しているかのような。

続く「Sail into the Sunset’s Fire」。
曲のタイトルには前曲とリンクする「Sunset」という言葉が出ている。
決してsunriseではなく、sunset。
夕暮れに続くのは闇。自由を手にした海賊達が向かう先には闇。

そんな将来を比喩しているのかななんて想像してしまう。
当然ながら燃え盛る太陽の情熱に向かって、
力強く生きていこうとするポジティブなエネルギーに溢れてはいるんだけど。

「Next Republic」では「Nation will rise again」と歌われている。
この曲は台湾の独立のために闘った英雄達を描いた曲。
結果として、永遠の独立は達成していない現状。しかしながら、何回でも立ち上がる。
将来の独立に向けて、何回でも闘争する、というメッセージが込められているように思う。

「Building New order from the past's crimes」のために。

「Rage of my Sword」そして「Between Silence and Death」では、
「mountains high」という共通のフレーズ、
そして「river」「stream」とこれまた意味上で同一のフレーズが用いられている。

1721年の反乱から1970年の反乱。250年の時を経ても繰り返される闘争。
一方で山々そして河の流れは決して雄大さを失うことなく、そこに在る。
これらの自然に向き合ったであろう登場人物の心境は大いに異なるように思えるけど、
「mountain」「river」という言葉をこの2曲に登場させたのは意図的なものを感じる。

「Resurrection Pyre」に登場するのは「Phoenix」。
言わずもがなの不死鳥は、永遠に生き続けるものの象徴。
焼身自殺した活動家をその象徴として描いているものの、その背景にあるのは、
台湾の独立のために自由を求めて闘ってきた人々の魂。

その魂は現代も生き続けていることを、メッセージとして込めているんだと思う。

「Set Fire to the Island」には台湾語で「硝煙四起陣陣新性命」という歌詞がある。
俺達を撃つがいい、命は再び蘇る、という意味のよう。
前曲でも歌われているけど、過去の闘争の中で受け継がれてきた魂は、
やはり自分達が死んでも決して生き続けるという意志が込められているように感じられる。

「Defenders of Butek Palace」には
「Sunset decries, nightfall's demise」というフレーズが登場する。
先の「Endless nightfall, swallow the sun」と対応するかのように。

夕日の非難。夕暮れの死。
とうとう夕日も沈んでしまって、闇の世界に入ってしまったことを暗示しているかのよう。

そして結局「Violence returns」と歌われる。
暴力の連鎖は未来も続いていく。ひょっとしたら千年、いや一万年も。


アルバムのコンセプトを素直に読み取ろうとすれば、非常に絶望的である。

他国の人間がとやかく言う話ではないことを承知の上で言えば、
台湾の歴史の中で、真に台湾が独立していた時代は非常に短い。

過去の独立運動が実を結んだケースは非常に少ないし、
現実として今でも台湾は中国の一部としてみなされ、
国家としての承認は未だに得られていない。

Chthonicのメンバーが中国からの独立を志向しているのは公知の事実だけど、
そんな彼らが決してただ単純にそんな絶望的な歴史と事実を描こうとしたとは思えない。

人間の歴史の中で暴力が消えた瞬間は無いといっていい。
世界ではいつの時代にも戦争が起こっているし、これからも繰り返されるであろう。
彼らはそのことを肯定する。正義のための暴力を肯定する。

ひょっとしたら、永遠のループの一つのピースになってしまうのかもしれない。
決して直接的な暴力行動を彼らは起こそうとしている訳ではないけど、
彼らの行動に対し、想定される一つの帰結に対する覚悟を描いたのが
このアルバムだったのかなと自分は思う。

台湾の独立のために自由を求めて闘ってきた人々の魂を、
現代に生きる彼らは受け継いで、そして闘っていこうとする覚悟。
永遠に繰り返されるであろう闘いに対する覚悟。

かなり大げさな言い方だと思うけど。


尚、ジャケットのアートワークには女性、子供、老人が描かれている。

インタビューでは、
「女性や子供、老人のような弱い立場の人々も、
武器を持って現在と未来の正義と平等のために戦うべきだ」
ということがテーマになっていると述べられている。

女性、子供、老人に共通するのは裸であるということ。
但し、各人には機械のようなものが身につけれられている。

子供はチューブのようなものに絡み取られて、台湾の歴史の中に絡み取られているかのよう。
老人は目を合わせて祈りを捧げている。将来の独立、平和を願っているのだろうか。
勇ましく戦場に向かうかのように見える女性。髪と肌の白さは何の象徴なのか。
中ジャケでは地べたにひれ伏している姿。こちらも何を象徴しているのか。

このジャケットにはまだ謎が多いので、将来的に語ってほしいなあと思う。
謎は謎のままで良いってのも事実だとは思うんだけど。


日本という国は過去の歴史の中で非常に長い間独立状態を保っている稀有な国家なので、
Chthonicのメッセージは過激で、なかなか理解しにくいところがあると思う。
実際の自分も、彼らほどリアリティを感じて、彼らの音楽に向き合えている訳ではない。

でも想像力を膨らませて考えることは出来る。

「正義のための戦い」「正当な理由がある防衛」に対して、僕は全面的には肯定しない。
暴力は連鎖するのが歴史の事実であって、もっと異なる手法を追求しようとするのが、
人間のあるべき姿だと思うから。

一方ででも「正義のための戦い」「正当な理由がある防衛」を決して全面的に否定はしない。
自分が大切な人の命が奪われようとしているとき、自分が立ち上がらないかといえば、否である。

世界を変えるには、一体どうすれば良いのか。
多くの先人達が取り組んできたテーマに、頭の足りない自分みたいな人間も、
少しは考えないといけないよなー。


大分脱線したけど、とにかくまだまだ語り足りないChthonicのニューアルバム。
日本で派手なアクションは聞かないけど、売れてんのかな?それが心配。


B00C1P3IC4Butik 武徳
ソニック
ハウリング・ブル・エンター 2013-05-29

by G-Tools



Chthonic 「Supreme Pain for the Tyrant」
CJの役柄がかなりハマってるw これも力作なPVだなあ。

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

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プロフィール

捕鯨船団

Author:捕鯨船団
1979年生まれ。
東京都町田市在住。
電子部品の技術開発に従事。

30超えにも関わらず、
楽器をドラムに替え、
学生時代以来のバンドを始めた
今日この頃。

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