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Green Day 「Sweet 16」

『¡Uno!』について、僕は勝手に「原点回帰」のアルバムであろうと想像していた。
明らかに『Dookie』に重心を置いていたようなサマソニのライブは、
その気持ちを固めるのに十分な内容だったように思う。

僕は「原点回帰」とされて賞賛されるアルバムが総じて苦手である。
貪欲に音楽的な実験を重ねて新しい音楽を追求してきたバンドが、
結局セールス的にもソングライティング的にも行き詰って、
そのようなアルバムを出すケースを見てきたからだった。

大体そういうアルバムって、過去の「名作」「代表作」の輝きを超えることは決してない。
ちょっと音楽的なジャンルは違うけど、例えば「原点回帰」を標榜したMetallicaの
『Death Magnetic』は、世間的な評判とは裏腹に、自分の評価は最悪もいいところで、
1、2回聴いた後に部屋のどこかに埋もれている。

Slayerみたいに終始一貫、金太郎飴的な音楽やってるバンドだと、
常に「原点」だからそんなこと感じることはない訳だけど。
(『Diabolus in Musica』まではSlayerも賛否両論沸き起こる楽曲作っているけど、イメージとして)


自分がGreen Dayに戻ってきたのは、前にも書いたかもしれないけど、
『American Idiot』がきっかけである。

自分がリアルタイムで聴いていた『Dookie』のバンドが、あんなにもシリアスなメッセージを込めて、
パンクオペラなんて新たな方法論を引っ提げて自分の前に出てきたときの衝撃ったらなかった。
勝手に「Green Dayってもう終わったんだろうな」と思っていたから、尚更だった。

当然ながら楽曲の素晴らしさや、アルバムを通じての構成力の素晴らしさを感じた訳だけど、
僕は、新しい音楽を作ろうと追求していく彼らの姿勢に対して、一番心打たれていたように思う。
彼らの創作の背景にある「情念」とか「想い」に惹かれていた、と言えるのかもしれないけど。

『Dookie』の頃のGreen Dayって「ガキの音楽」って感じでバカにされていたように思う。
でもそんな彼らが10年の時を経てあんなアルバムを出したって事実が本当にかっこいいと思って、
だから僕はGreen Dayに戻ってきた。

そんな自分がGreen Dayの「原点回帰」を許容出来る訳がなかった。
だからそんなイメージの『¡Uno!』というアルバムは楽しみではあったけど、聴くことが怖い気持ちもあって、
発売日を過ぎても心の準備が出来ずに、ずっと購入を見送っていた。
結果的に聴いたのは、発売日から約2週間後になっていた。

でも、実際に聴いてみて、その認識は間違いだったと思えた。
『¡Uno!』は「原点」を意識したアルバムではあっても「原点回帰」のアルバムではなかった。
今のGreen Dayを等身大にアルバムであり、『American Idiot』も
『21st Century Breakdown』も通過した次のステージの彼らを表現したアルバムだと思った。

そう思えたことは、自分にとって本当に嬉しいことだった。


とはいえ、このアルバムを聴いて素直に「名盤」だって思った訳ではない。
出来るだけ一回目に聴いたときの心の動きを、稚拙な感想ながら書き綴っておこうと思う。

「Nuclear Family」は何となく『Nimrod』時代のGreen Dayが
『Warning』の音で作ったような曲だと思った。
Green Dayが得意なスピードの曲で、当たり前だけどかっこいい。

「Stay the Night」はサマソニのライブで一番かっこいいと思った曲。
あのときは『Dookie』の頃のGreen Dayをイメージしたけど、
CDで聴いてみると、ギターのディストーションは控えめで、ちょっと印象が違った。
ギターのカッティングがほんと味があるというか、とにかくギターがかっこいいと思った。

「Carpe Diem」は『21st Century Breakdown』に入っていてもおかしくないと思った。
パンクというよりはロックと呼ぶのが適切なような。
サビでトレがハイハットの16連打するんだけど、これって今まであまり聴いたことなかったような。

「Let Yourself Go」は雰囲気が一転して、一気にテンポアップ。
入りのところは『American Idiot』の「St.Jimmy」を彷彿とさせるような。
サビはキャッチーだけど、甘さの感じるキャッチーさではなくて、
どことなく男臭さを感じるキャッチーさが素敵。

「Kill the DJ」は、このアルバムでまず驚きを感じた曲。
今までやったことのないようなダンスビートを大胆に取り入れた曲。
Franz Ferdinandみたいなんだけど、単なるパクリに陥らずに、Green Dayの曲になっている所は流石。
ビリーのボーカルが凄く色気があってかっこいい。

僕は新しい音楽的な要素を貪欲に取り込んでいこうとするGreen Dayのこんな姿勢が好きだ。
この曲を聴いたあたりから、僕はこのアルバムは単なる「原点回帰」ではないと思えるようになってきた。

「Fell for You」はそんなに印象に残る感じではないけど、相変わらずメロディは素晴らしい。
この曲もあまりギターのディストーションが効いていない。
アルバム全体に言えることだけど、このアルバムの音作りは『Warning』に近いと思った。

「Loss of Control」はイントロからしてDammedの「New Rose」みたい。
そういやサマソニのライブ前のSEでこの曲かかっていたような。
当然ながらかっこ良くない訳がない。トレの十八番ともいえるバスドラ連打のエイトビートが堪能できる曲。

ギターソロも凄くかっこいい。いわゆる「初期パンク」をオマージュした曲だと思った。
曲タイトルからしてそんな感じだし。

「Troublemaker」もまた今までとは違った感じの曲。
あくまで自分の印象だけど、なんとなくBlurみたいな感じ。
音の隙間の作り方が凄く上手い。音を詰め込む感じで歌うビリーのボーカルが
これは昔のGreen Dayでは決して出来ない曲だと思う。

「Angel Blue」はこれまたGreen Dayの得意とするテンポの曲。
昔のGreen Dayっぽい感じがするけど、ギタープレイはきっと昔のビリーでは出来なかった曲。
バッキングもギターソロも難しいことやってる訳じゃないけど、かっこいい。

今回もいいアルバム作ったなーって聴き続けていて、
でもいわゆるキラーチューンって曲がないのはちょっと残念かなと思っていたところで、
「Sweet 16」が始まった。

この曲にはインパクトがあった。とにかくメロディが素晴らしい。
一気に時代遡って『Kerplunk』くらいに戻ってしまったかのような青臭いメロディ。
今までのビリーのボーカルスタイルとは異なるアプローチでの歌。これは甘い。あまーい。

Kids alright, alright as they'll ever be

というフレーズは、不思議とハッとさせられたり。
やっぱりThe Whoのあの曲から取ってきてるんだろうな。
ここら辺、凄くノスタルジアな雰囲気を作り上げていると思う。

とにかく素晴らしいのがこの曲のギターソロ。
大げさではなくて、この曲のギターソロ流れてきたときは理由もなく涙腺が緩んだ。
全く難しいことなんて何一つやっていないんだけど、
あんなギターソロ作れる人間が今までいたのって感じ。今のビリーにしか作れないと思った。

「Rusty James」も本当にメロディアスで素晴らしい曲。
「Sweet 16」からという流れが尚更この曲を引き立てていると思う。
この曲もどことなく『Kerplunk』あたりをイメージさせるようなメロディ。
でもこちらは甘さもあるけど、そこに力強さもミックスさせた感じ。

サビでメジャーコードからマイナーコードに進行していくアレンジは、
もう確信犯としか思えない展開で本当に素晴らしい。
こういったソングライティングは、これまでの歴史の積み重ねで培ったものだと思う。

そしてこの曲のギターソロもやっぱり素晴らしい。
ソロ終わった後のコードカッティングがまたかっこいい。

アルバム全体に言えることだけど「原点」を意識して作られた楽曲の中で、
浮かび上がったのがビリーのプレイヤーとしての成長だったように思う。
別に上手いギタリストではないんだけど、彼が到達した境地は技術云々ではなくて、感情に訴えるギター。
ここまでギターが響くGreen Dayのアルバムって、今まで聴いたことがなかった。

ラストに「Oh Love」ってのがまた素晴らしい。
サマソニのときもいい曲だなーとは思っていたけど、このアルバムの流れの中で聴くと本当にいい感じ。
この曲のBメロが終わってからの展開が凄く好きで、やっぱりこの曲でもギターソロが凄くいい。
終始曲を彩るギターリフもかっこいいし。締めに相応しい曲だと思う。


最後までアルバムを聴き終えたときは、本当に爽快な気持ちだった。
こんなアルバム作ってくれてありがとうと、素直に思えた。

自分は聴いたことなかったけど「Sweet 16」は
Billy Idolの「Sweet Sixteen」のオマージュなのかなと後から思ったり。
歌詞を眺めていると、共通の雰囲気が感じられるし。

『21st Century Breakdown』みたいに、昔のロックとかパンクとか、
色々なオマージュが今回のアルバムにも散りばめられている。
何回か聴いているうちに発見できるものもあったり。

シンプルなんだけど、何回聴いても飽きない。
決して名盤とは言わないけど 『¡Uno!』はひょっとしたら自分が生きている間、
ずっと聴けるアルバムになるかもしれない。

確かに「原点」を意識して作ったと思われる楽曲が並んでいるけど、
決して過去の焼き直しに留まってはいない。
過去の歴史を背負って、新たな音楽的要素も取り込んで作り上げたのがこのアルバム。

そして何と言っても、今までのアルバムの中で一番、ビリーのギターを堪能出来るアルバム。

今のところ自分が 『¡Uno!』に対して思うのはそんなところ。


次にリリースされる『¡Dos!』『¡Tré!』がどんなアルバムになるのか。
三部作の全貌が見えた段階でまたこのアルバムを聴くと、また新たな発見があるのかもしれないと思う。

来年までまたGreen Dayに浸かる日々が続きそうだ。


B008C1O8CAUno!
Green Day
Reprise / Wea 2012-09-25

by G-Tools



Green Day 「Sweet 16」

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

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こんばんは!

偶然ですが、
私も、近々グリーン・デイの新譜について記事にしようと思っていたところでした。嬉しいシンクロに驚きました。

捕鯨さんの記事を読ませていただき、
一曲一曲、とても丁寧に書かれていて、感激しました。
自分にはこんな風に書ける自信がないので...
もう少ししてから記事にしようかな(^-^;

でも、本当、爽快な(それでいて深みもある)いいアルバムでした。

私は、安さに負けて今回も輸入盤を買ってしまったのですが、
日本語盤の歌詞が読んでみたいです。(今更ですけど...(^^)

今回は、3部作ということで、
次回の記事も楽しみにしています!!

全然関係ないんですけど...
今月のサムライマガジンご覧になられました?
横山健さんのインタビュー記事、
めっちゃ良かったです。




Re: タイトルなし

今回のアルバムも本当にいい出来で良かったですよね。
今週はずっとグリーンデイばっかり聴いてました。

英語力ないですけど、自分も歌詞カード見ながら分からない表現は調べてみたりして、
どんなこと歌ってんのかちょこちょこ調べてます。

でも、グリーンデイの歌詞は何気に自分にとって難しいです。
表層的な表現は理解できても、その裏側にある本質を理解しきれないというか。
アメリカ文化なりの一定の教養が必要なのかなと思っています。
ここは確かに他の人を頼らなくちゃいけない所ですよね。

次の『¡Dos!』は発売日にすぐ買おうと思ってます。
もちろん感想もすぐ書きます。

サムライマガジンですが、読んでないので、ちょっと本屋で探してみますね。

No title

視聴機で聴いていて、自分も終盤の流れはたまらなかったです。
ビリーはなんか色々とよくない話が出てきちゃいましたが、早く復活してまたパフォーマンスを見せて欲しいです。
買いたいなぁ……

Re: No title

そうなんです。自分も終盤の流れはぐっときました。

何だかんだ気楽に作ったように思える三部作な訳ですけど、
心魂を傾けた制作だったのかもしれませんね。完全に深読みに過ぎないですけど。

ビリーはきっと復活してくれると思いますよね。
オーディエンスに音楽を届けるのが純粋に好きな人だと思いますし。
三部作リリース終わったらまた日本来てほしいです。
プロフィール

捕鯨船団

Author:捕鯨船団
1979年生まれ。
東京都町田市在住。
電子部品の技術開発に従事。

30超えにも関わらず、
楽器をドラムに替え、
学生時代以来のバンドを始めた
今日この頃。

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