スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

eastern youth 「踵鳴る」

ここ1ヶ月、家で寝たのとホテルで寝たのと半々くらいだったと思う。
家で寝るにせよ平日は仕事で遅いし、土日も何だかんだ酒飲んだり何だりで、
殆ど家にいなかった。

という訳で、ブログの更新が滞るのは必然であった。
習慣というものは、一度習慣でなくなると、元に戻すのに時間がかかる。
そんな感じの日々であった。せっかくライブ行ったのに、
レポ書けていないのは本当に勿体無いと思う。


自分は元々研究開発部署の人間であったが、開発していた技術を
見切り発車的ではあるが、事業化していこうという後押しもあり、
実際の開発に携わっていた僕が、二年前、事業部の設計部署に異動することになった。

そこからの日々は、怒涛であった。

僕の開発品以外にも別製品の立ち上げや既存製品の設計変更などを任され、
初めて肉体的、精神的なオーバーフローというものを経験した。
とにかく、やることが多すぎる。風呂のように、お湯を抜いても、常に新しいお湯が入ってくる。

更に、自分の開発品は、世の中として、誰もやったことのないことだった。
市販の装置を買ってきて、それで作れるというものではない。
研究室レベルで出来ていたことを、どんな装置を組み上げて、産業として成立させるのか。

自分自身の経験が浅いこともあり、多くの人間が抱いていた不安を払拭させることは出来ないまま、
製造ラインの検討がスタートした。製造装置の一部は「自作」することになった。

大方の予想通り、うまくいかない。想定していなかった問題が次から次へと噴出する。
怒号が響き渡ったのは一度や二度のレベルではない。
当初立てていたスケジュールから、あっという間に半年の遅れが生じていた。

僕は自分の開発品を、何としてでも世の中に出したかった。
自分の開発品については、これが実現できれば他社には負けないと、絶対の自信があった。

でもその自分のこだわりが、周りの人間を不幸にさせているのではないかという葛藤も生じた。
もっときっと楽な道はあったはずだって。一番にはなれなくても、二番にはなれるかもしれない。
そんな後追いの道もあったはずだった。

実際に、僕が信頼していた方の一人が、無茶をしすぎて、調子を崩した。
今は笑い話になっているものの、当時の現場は、相当に騒然としていたらしい。

僕は管理者ではないので、責任者ではない。でも明らかに自分は船頭であると自覚するようになった。
自分のこだわりが、周りを動かしてしまった。一度漕ぎ始めたオールを、放棄する訳にはいかない。
当初は感じていなかった責任感を、いつの間にか自分は勝手に背負うようになっていた。

当時、誰にもこぼしたことはなかったけど、正直辛かった。
プレッシャーで寝れなくなって、夜中に一人で車出して現実逃避に走ったことも多かった。
酒飲む回数が減った反動か、飲んだときにはへヴィにとことん溺れることも多かったと思う。


でもまあ青春ドラマみたいな展開ってのはよくある話で、
なんだかんだで苦楽を共にした人間同士の結束力ってのは、結果として大きな推進力を生んだ。
夜中遅くまで工場の現場で仕事して、一緒に飯食って、飲みに行ってと。

極めて昭和的な価値観ではあるかもしれないけど、苦労を共有し、
酒を介して互いの人間性をさらけ出し合うことが、お互いの理解を生んだ。
年齢も役職も役割も違う人間同士が、それぞれの「立場」を超えて相手を理解し、
それが逆に自分の立場と、あるべき自分の役割を自覚させることになった。

精神論だけではものづくりは出来ない。
しかし、お互いが自分の役割をきっかりとこなし、
時にはその立場を超えて仕事に取り組むことにより、明らかに進捗は以前と比べて早くなっていた。
自分の縄張りだけではなく、相手の縄張りにも入って、お互いに意見を述べ合うようになった。

段々と自分の考えが変わっていくのを感じた。
自分の開発品は周りを不幸にはさせていない。周りの人間に、活気を与えている。
少人数ではあったが、過去に体験した体育会系の部活のような熱さが、
無理なく自然と生まれてきているのを感じた。

大変だけど、新しいものを作ることは面白い。
それが僕の中で生まれてきた実感だった。きっと「少人数」の中にもそれは共有されていた。

ここ一年の間で、何もなかった空間に、新しい製造ラインが生まれた。
僕はそこに行く度に、昔の苦労が蘇り、何ともいえない懐かしい気分になる。
まだ「量産品」としては市場に出ていないが、あと少しすれば、ここで生産が始まり、
新しい価値が、きっとこの工場のラインから世に出て行くことになる。

ま、実はまだまだ課題はあって、やらなくてはいけないこといっぱいあるんだけど。


先日人事が出て、僕は設計部署から、また研究開発部署に戻ることになった。
しかも、今まで自分がやってきたこととは違う、全く新しい分野の開発である。
正直自分がやりたいと思ったことがなかった分野だ。完全に不意打ちであった。

自分の仕事内容が変わることについては気持ちを切り替えれば良い。
きっと時間が解決してくれる。
でも、工場という現場との関わりが薄れてしまうことに対して、僕は寂しさを感じている。

設計、開発の人間はあるタイミングで工場に対して離れなくてはいけない。
新しいものを生み出す新陳代謝の中で、それは必然的なことである。
でも僕にとって、それは初めての体験である。今はその点に対してまだ割りきることが出来ない。

見捨てるわけじゃないけど、自分のせいじゃないけど、
僕はこれから現場で起こるであろう苦労から、背を向けようとしているのではないか。
そんな葛藤を感じている。

これからのことについて、僕は上司と相談しなくてはいけない。
でも、まず行かなくてはいけないのは現場だ。
元々予定していたことだけど、今日から僕は電車に乗って、また工場に出張する。

僕が今の部署にいる間にやるべきことを、まずは精一杯やらなくてはいけない。


日本でのものづくりは、きっと昔の規模では維持できないと思う。
日本のメーカーであっても、海外での生産を選択する機会は増加するはず。
海外メーカーとの価格競争において、日本生産におけるコスト面でのハンデの大きさは如実である。

でも、日本におけるものづくりの強みはきっとある。
泥臭く、根気良く、しつこく、困難に向き合いながら、新しい価値を生み出すこと。
スマートなものづくりは海外に任せておけば良い。
僕は日本的な粘り強さが無ければ生めない技術、製品ってものがきっとあると信じている。

大手半導体メーカーすら破綻してしまう現状。
少なくとも僕らの世代の人間は、日本のものづくりについて考えを巡らせて行動に移していかなければ、
きっと日本で作るものはなくなる。

製造業は今でもきっと日本を支えている。
そのプライドを、決して引っ込めるようなことはしたくない。


行けば帰らざる雲が行けば
俺は口笛を吹きまくるさ

解答は知らない
教典はいらない
歩く踵がそれを知るだろう
朝の地鳴りが告げるだろう


B00005LCRM感受性応答セヨ
eastern youth
トイズファクトリー 2001-08-08

by G-Tools



eastern youth 「踵鳴る」
10年前のライブ動画だけど、先日見に行ったライブの熱さは、何も変わっていなかった。
学生時代とか、入社当初とか、熱かった頃の気持ちは、決していつまでも失ってはいけない訳です。
このバンドは本当にそういうことを考えさせてくれます。

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

No title

こんにちは。いつだかコメントさせていただいた者です。
自分は経済専攻の学生なので、正直製造やら開発やらはトンチンカンです。が、捕鯨さんの文章からは相変わらずの聡明さと知性が感じられて、つい読み入ってしまいます。
経済の他にも社会問題や、もっと抽象的に、日本の将来にも強い関心があります。なので、捕鯨さんのような日本の将来を見据えて働いている大人。そんな方が現実にいて、そしてブログを通じて製造業から見た社会(?)を伝えてくれることがとても嬉しいです。

平成生まれですが、捕鯨さんの言われる昭和的価値観、わかるような気がします笑
個人的な意見では、この大不況を脱するには需要創出しかないと思っています。雇用創出のためにも、個々人の幸福のためにも、今までになく、そして日本らしさを持った、そんな需要が。
そこに、日本の昭和的な暖かみが重要になってくるような気がします。

多忙な仕事の合間にライブに積極的に参加したり、捕鯨さんはとっても元気そうですが、それでもお体に気をつけてくださいね。

Re: No title

返事遅くなって申し訳ありません。コメントありがとうございます。

立場の違う方から、自分の書いていることについて意見頂けるのは嬉しく思います。
実際は聡明さも知性も持ち合わせた人間ではないんですけど。

>日本の将来を見据えて働いている大人。そんな方が現実にいて、
>そしてブログを通じて製造業から見た社会(?)を伝えてくれることがとても嬉しいです。

僕を育ててくれた日本という環境に対して、
恩返しをしたいという気持ちは、今の自分にとって嘘偽りの無い感情です。
それは僕が社会人になるときに決意したことであり、
今の自分を動かす力になっているのは間違いないです。

でもそれってあくまで今の気持ちであって、いつか自分も私利私欲を優先するような、
そんな人間に堕ちていくのではないかという恐れを持っていることも事実です。
実際今ももう既にそんな人間になってしまっているのかもしれませんし…。
自分でいうのもなんですが、あまり僕のことも信用しないで下さいね。

>個人的な意見では、この大不況を脱するには需要創出しかないと思っています。
>雇用創出のためにも、個々人の幸福のためにも、今までになく、
>そして日本らしさを持った、そんな需要が。

製造業にいる人間が言うのも変な話ですが、これ以上産業の発展って必要なのかなと、
考えることがあるのは事実です。
でも「もの」を作り続けないと「需要」も「雇用」も生まれない。

高度成長期の先輩方は、日本を豊かにしたいから頑張って働いていた部分があると感じます。
でも今の自分たちにとって、もう十分豊かな生活って享受出来てしまっていると思います。
ただし、その豊かな生活は、日本における産業の発展なくして維持できない。
だから「もの」を作る。

上手く伝わるか分かりませんが、そんなジレンマがあります。
日本らしさを持った「需要」。確かに僕もそれを見つけたいですね。
資本主義社会の行き詰まりはいつかやってきます。その先を僕は見つけたいです。

最近はあまり自分のブログと向き合うことが出来ず、更新が滞ってしまっていますが、
引き続き僕のブログを覗いて頂けると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。
プロフィール

捕鯨船団

Author:捕鯨船団
1979年生まれ。
東京都町田市在住。
電子部品の技術開発に従事。

30超えにも関わらず、
楽器をドラムに替え、
学生時代以来のバンドを始めた
今日この頃。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
FC2カウンター
Twitter...A

hogeisendan < > Reload

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。