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KISS 「Beth」

12年前の今頃、僕は受験生だった。
ちょうど冬季オリンピックをやっていた。あの長野オリンピックのとき。

受験生になると学校が休みになる。
高校の連中と議論になったところではあったんだけど、僕は極力オリンピック見てた。
もう受験直前にあがいても仕方ないしって思って。
一方で精神的な緊張状態をキープするために、誘惑を絶つべきってのも真実なんだけど。

今振り返ると、当時から合理的であることを第一義に置いてたんだなって思う。
だいぶその要素は今の僕から薄れてはいるけど、未だに変わっていない。嫌な性格だ。

しかし、当時受験生で本当に良かったって思う。
はっきり言ってあのオリンピック、個人的には伝説だった。
たぶんあれ以上の印象を僕に残すオリンピックはないだろうな。

なんといっても印象に残っているのが、ジャンプの団体戦。
スポーツの試合という括りで見ても、これほどの感動と興奮は他に無かった気がする。


4年前のリレハンメルのとき、僕はテレビで原田の失敗ジャンプを見ていた。
原田は失敗したけど、笑っていた。それが少年の心に奇妙な印象を残した。
次の日の学校ではそのことが話題になった。失敗したくせに笑ってるなんてふざけてるって。
子供に限らず、多くの大人達も総じて同じ意見だった気がする。

そして4年後。ノーマルヒル、ラージヒルと個人戦で日本はメダルを取っていたけど、
僕の中でも、世間的にも、団体戦で金メダルを取れるのかってのが最大の関心事だったように思う。
メンバーの総合力では勝って当たり前という布陣だったので、
あとは精神的な領域が結果を左右するであろうことは、事前に言われていた。

1回目のジャンプ、原田はまるでデジャブの如く、ジャンプを失敗した。
あの悪天候の中、失敗といえるのかという議論はあるだろうけど、
他選手の結果を比較するに、やっぱり失敗だった。

しかし2回目での日本の追い上げは凄かった。
岡部、斎藤と大ジャンプの連続で日本は順位を上げ、いよいよ原田の2回目のジャンプ。

あのジャンプはシビれた。
異常な角度で高く飛び出して、どこまで行くのって感じで飛んでいった。
殆ど平らなところで転倒せずに着地。

後ほど原田は複雑骨折してもいいくらいの気持ちで飛んだって言ってたけど、
それくらいの気持ちが伝わるようなジャンプだった。感動と興奮で胸がいっぱいになった。

最後の船木のジャンプ。無理しなくても普通に飛べば金メダルという状況。
相当な重圧があっただろうけど、第一人者の実力を見せ付けた、芸術的なジャンプだった。
アナウンサーの「綺麗な飛形できた」って言葉は今でも印象に残っている。


オリンピックに出ている選手達って、はっきり言って、他人。
「他人」ではあるんだけど、その大会に懸ける想いや情熱、背景にある努力と歴史を感じることによって、
他人が応援したい対象になっていくのを感じた。自分のこと、友達のことのように嬉しいと思った。

競技後のインタビューには泣きじゃくる原田がいた。
テレビでは決して表には出さなかった、素の彼がいた。
ひょうひょうとしているように見えたけど、4年間の重圧ってのは、僕なんかが全く想像できないほど、
暗く、重く、憂鬱なものだったんだと思った。

あの映像を見て、僕は人間の中にある歴史というものをより意識するようになった。

僕以外の人間は他人。そして他人が僕に見せてくれるのは、ほんの一側面の表情なんだって。
人間の歴史ってのは、僕が想像するのより、何十倍、何百倍も大きいものなんだって、意識するようになった。
表面的な印象で人間の価値を決めてはいけない。当たり前のことを、当たり前にできるようになりたいって思った。


たまたまその日は親も仕事が休みだったのか、このジャンプ団体戦は、最初から最後まで一緒に見てた。
お互い感動を伝え合うのが照れ臭かったのか、歓喜に沸く画面を、ただ無言で見つめていたのを思い出す。

ひょっとしたら僕は、大学に受かったら、あと1ヵ月後には家を出るんだなってことを意識してたのかも。


とにかく長野オリンピックは良かった。
僕は全くトリノオリンピックは見てないし、オリンピックというものに対して、興味もだいぶ薄れてきたけど、
アスリート達が目指すべき最高峰の場所として、在り続けてほしいというのが希望である。

絶対に、単なる金儲けの手段に陥らせてはいけない。
感動を与える、と書くと陳腐な表現になるけど、実際僕はそういう体験をしたので、
そういう体験をする可能性がある人がいるなら、オリンピックは続いて欲しいと思う。


ジャンプ団体戦のダイジェスト動画
http://www.youtube.com/watch?v=vQn1qQUhXlo&feature=related

競技後のインタビュー
会場の雰囲気が異常です。あの場にいた人たちは一生モノの体験になったのではないでしょうか…。
http://www.youtube.com/watch?v=XnxKC61Cy-g&feature=related


受験のため、僕は北海道に降り立った。
雪舞い踊る北の地は文字通りに別世界で、僕はこれから別世界で生きていくんだという決意を抱かせた。

札幌には親戚がいたので家に泊めてもらって、当日も会場まで送ってもらった。
その車の中のラジオから流れてきたのは、KISSの「Beth」だった。
高校の頃、僕はKISSが好きだった。曲も簡単だったので、ギターでコピーしていた。

僕はこの曲を初めとして、色々な音楽を聴きながら、受験勉強をしていた。
単なる偶然ではあるんだけど、ラジオから流れる「Beth」を聴きながら、
今まで自分がやってきたことが、間違いじゃなかったんだって気がした。


「Beth」を聴くと、そんな昔のことを思い出す。

そして僕はめでたく大学に入り、いろいろあって、今に至る。
その間には、テレビに現れるようなかっこいいドラマがあるわけではないけど、僕なりの歴史がある。


B000001FBWDouble Platinum
Kiss
Polygram Records 1990-10-25

by G-Tools



KISS 「Beth」音のみ



KISS 「Beth」オーケストラをバックにしたライブ。みんなKISSメイクしてて、違和感ありまくりで、いいです。

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

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No title

ちょっとこっちまでもらい泣きしそうになりました。。。
捕鯨さん、毎度のことながら本当に良い記事お書きになる。

オリンピックを見て感動したこと。それも一つの捕鯨さんの歴史で、その歴史っていうのはやっぱり大きい。
個人が持っている歴史って、どんなに矮小に見えても大きいと思います。
壮大な、言葉通り大きい歴史も、個人の小さな(それでいて大きな)歴史の積み重ねがあってこそですから。
で、そんな歴史を語られると、その裏にあった想い、背景、色んなことが思い起こされて、もうたまらんのです。何が言いたいかというと毎度のことながら捕鯨さんの記事がたまらんのです。

人に歴史あり。良い言葉だと思います。

私も色んな歴史を持ちたいです。年表作って、教科書作れるぐらい持ちたいです。
きっと数十億のうち二、三人は、感動してくれる人がいるだろうと。

Re: No title

めちゃめちゃ褒められてますね…。ありがとうございます。

特に通勤するとき電車や駅で色んな人とすれ違うんですけど、
その一人一人に歴史があるって考えたらめまいがする感覚になります。
そういった一人一人の歴史が、日本の歴史となり、世界の歴史となる。

世の中って壮大過ぎますよね。

有名になって多くの人に名前を売る生き方もあれば、
例え少ない人間に対してであっても、
彼ら彼女らに深く生きた証を刻む生き方もあると思います。

きっと2、3人以上に感動してくれる人はいると思いますよ!
引き続き創作活動がんばってください。
プロフィール

捕鯨船団

Author:捕鯨船団
1979年生まれ。
東京都町田市在住。
電子部品の技術開発に従事。

30超えにも関わらず、
楽器をドラムに替え、
学生時代以来のバンドを始めた
今日この頃。

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