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Metallica 「Enter Sandman」

最近知ったんだけど、Metallicaの『Metallica』通称ブラックアルバム(Black Album)が、
1991年?2009年の期間において最もアメリカで売れたアルバムになっているようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/Best-selling_albums_in_the_United_States_since_Nielsen_SoundScan_tracking_began

自分の想像以上、というより日本人の想像以上なんじゃないでしょうか。
メタリカってアメリカでは相当にビッグなバンドなようです。
十分に知っていたつもりなのに、こうやって数字として提示されると、驚き。
この事実は、彼らの見方を変えてしまうくらいにインパクトのある数字。

そりゃー、無理して日本来る必要ないわな。


彼らは『Metallica』をリリースしてもうすぐ20年が経とうとしているけど、
その間、名盤と呼べるようなアルバムは無かった(『S&M』は名盤だけど、あれは企画ものなので…)。
少なくとも僕はそう思っているし、実際そう思う人は多いんじゃないかと思う。

でもメタリカが今でも大御所として世界的に君臨し続けている事実。
それは決して『Master of Perpetts』ではなく、『Metallica』によるものだと思う。
セールスが何よりも物語っている。このアルバムがどれだけの人々に浸透したのかを。


メタルの過激な要素を突き詰めたメタリカは、『Master of Perpetts』を引っさげて表舞台へと登場し、
現代にも繋がるアグレッシブでエクストリームな音楽の裾野を広げた。
アンダーグランドな音楽を、広く世間層までアピールする状況を作り出した功績は量り知れない。

スラッシュメタルに代表される過激な音楽がブームとなりえること。
このときはメタルだったけど、後に繋がるミクスチャーやへヴィロック、グランジといった
過激に歪んだギターが鳴り響く音楽が以後にブレイクを果たすのも、
このときのメタリカのブレイクが大きいんじゃないかって勝手に思っている。


『Master of Perpetts』後にクリフ・バートンを失ったメタリカが続いて発表したのが
『…And Justice for All』だった。

『…And Justice for All』は、メタリカ史上最も複雑でテクニカルなアルバムだった。
後追いで聴いたけど、めちゃくちゃ凝ってるし、特にラーズとカークが頑張っている。
こんなこと出来たんだーって驚きだった。

そんな彼らの冒険は「Blackened」「One」に代表されるような名曲として結実し、実際このアルバムは売れた。
特に「One」はバンドとして初のシングルヒットとなり、
メタリカをメタルファン以外の人間にも振り向かせるような結果を得た。

一方で「Harvester of Sorrow」のような次作を予感させるような、
重心の低いグルーブ重視の曲も収められている。

とはいえ、どの曲もそれまでのメタリカのあくまで延長線に位置づけられるような仕上がりになっており、
いわゆるメタル、狭義ではスラッシュメタル、の範疇に収まるものだったと思う。
メタル系の雑誌やネットでの論調を見ると、ここまでのメタリカがあくまで好きってファンが多い。

実際、僕もここまでのメタリカの方が好きである。
一番好きなアルバムは『…And Justice for All』だし。一番好きな曲は「Battery」だけど。


『…And Justice for All』で成功を収めた彼らだったが、
次作を制作するにあたって、これまでの路線を踏襲していいのか葛藤があったようです。

複雑でテクニカルな路線はやり尽くした、バンドとしての現状。
一方で、巷にはメタリカの音楽に対するフォロワーが溢れ始めている、メタルシーンの現状。
「One」における世間的成功、シアトルで火が付き始めた新しいヘヴィロック。

それらの全てがきっかけとなって、新しいメタリカの音は生まれた。

英語だけど、下記リンクにネット上では貴重な当時のインタビューがあります。
その中で『Metallica』の音が生まれた背景が綴られています。
http://www.metallicaworld.co.uk/Interviews/black_album_1991.htm
http://www.metallicaworld.co.uk/Interviews/thrash_kings_1991.htm


彼らが選択したのは、彼らが積上げてきた音楽の再構築だった。
彼らの音楽を構成していた要素を分解し、ひたすらに贅肉、時に筋肉まで削ぎ落としていった。

複雑で劇的な展開はなく、開放弦を歯切れ良く刻むギターリフはなく、大仰でクラシカルなフレーズはなく、
高速で疾走するアグレッションはなくなった。
メタリカをメタリカたらしめていた要素も、今の自分達に不要なものとして切り落とした。

音楽面において連続性を保ったのは、バラード「The Unforgiven」「Nothing Else Matters」にて
聴かれるようなわずかばかりのドラマ性くらいな気がする。
少なくとも僕は、どうしても他に音楽的な連続性を見出すことが出来ない。

そんな過去との断絶ともいえるような作業の中で残ったのは、
プレイヤーとしてのメンバーの個性だけだった。
このアルバムにおいて聴ける彼らの演奏は、過去のアルバムでは決して聴くことの出来なかった、
唯一無二の生々しい存在感を放っていた。

ラーズのドラムにおける、ショットの溜め。元々リズムは独特なものを持っていたけど、
ここに来てタメを効かせたグルーヴィーなラーズのドラミングが完成した気がする。
プレイとしてはそれまでの奏法の延長線上にあるんだけど、
テンポを落としてどっしりとしたリズムを築くことにより、ラーズの個性は開花したと思う。

ジェイソンの地を這うようなベース。
元々上手い人だったんだろうけど、前作では不本意なミックスをされた復讐の如く、
重心の低い、それでいて正確なベースを弾いている。
当時のラーズとのコンビネーションは、最強レベルの相性だったと思う。

カークのエモーショナルなギターソロ。
お世辞にも上手いとはいえないギタリストが見つけたのは、
ブルース色の入ったペンタトニックスケールで弾き倒すスタイルだった。
紆余曲折を経て手、リードギタリスト、カークの個性が確立したのはこのタイミングだったと思う。

なんといってもジェームスのボーカル。
このアルバムは、ジェームスのボーカルの成長抜きには語れない。

『Kill 'Em All』の時点では、細かい音程なんか気にせずにガナリ立て、
歌心なんて全く感じられなかったボーカルが、稀代のボーカリストとして成長を遂げた。
中低音における色気のあるボーカルは、比類なき歌声として輝きを放っていた。

このアルバム制作におけるボブロックとの共同作業の中で、
ジェームスはボイトレに励み、技術向上に励んだそうです。


結果的に見れば、このジェームスのボーカルが、メタリカを世界的存在へと押し上げたと思っている。

彼らが辿り着いた音は、「ロック」だった。
ジェームスの歌を中心に据えた「ロック」だったと思う。
メタルとロックの違いって何って突っ込まれそうだけど、僕が今『Metallica』を聴いて思うのはそれである。


このアルバムの制作当時、メンバーはシアトルのバンド、
Alice In Chains、Soundgarden、そして『Nevermind』以前のNirvanaをよく聴いていたらしい。
彼らの音にはメタルの要素がふんだんに入っているけど、生々しいロックである。

グランジ、もしくはオルタナと呼ばれるバンドが大ブレイクを果たしたのが1991年。
一方で『Metallica』が発表されたのが同じ1991年。

ここに奇妙な同時代性がある。

メタリカは勿論これらシアトルのバンドに刺激を受けたことは間違いないけど、
決してまだメインストリームな音楽とは呼べなかった訳で、
しかも一時代を築いたバンドが単純にそれらのバンドの方法論を真似るなんてことは、
彼らのプライドを考えて、有り得ない。

よく『Metallica』でメタリカは時代に擦り寄ったなんて言われるけど、
僕は決してそうは思わなくて、これは偶然の一致なんだって思っている。
その後のアルバムはともかく、メタリカの歴史を追っていけば、そんなことないって確信できる。

そんな2つの流れが偶然にリンクし、爆発を起こしたのが1991年だったんだと思う。

結果的に、メタリカは変わりゆく運命にあった音楽シーンに対し、
あまりにもその時代とリンクしたアルバムを作ってしまった訳である。
『Metallica』は1年早くても、1年遅くてもダメだったと思う。

1991年だから、あそこまでの影響力を持ったんだと思う。

メタリカはアンダーグラウンドなメタルを表舞台に引き上げた一方で、
それらのメタルを再び地下シーンに戻してしまった。
メタリカは開拓者であり、破壊者であった。
1991年以降、伝統的なメタルはほぼ死に絶えた状態になった。

メタリカだけが、変わり行く時代を捉えたバンドとして生き残ったのである…。


『Metallica』というアルバム。
もう何回聴いたか分からないくらい散々聴いたけど、悔しいけどかっこいい。
はっきり言って、それ以前のアルバムの方が好きだけど、でもかっこいい。

メタルファンとして、このアルバムが名作だとは言いたくない。
僕と同じように、それ以前のメタルが好きな人間にとって、
このアルバムは恐らく踏み絵のようなアルバムである。

でもスラッシュメタルを出自としたバンドが、
90年代以降のアメリカで最も売れたアルバムを作ったという事実。

その事実には絶対的な敬意を払わなければいけないと思う。
文句なしで、世界の音楽シーンに影響を与えたアルバム。
それ以後のヘヴィな音楽全てとリンクすると言っても過言ではない、重要作。


あっという間にこんな長文になっていた…。
それだけこのアルバムには語るべきことがあるのです。
まだまだ上手く言えないことあるけど、頭の中を整理できたら、また書きたいと思う。

これから会社の資料を作らんと…。


B000002H97Metallica
Metallica
Universal/Mercury 1991-08-12

by G-Tools



Metallica 「Enter Sandman」 LIVE



Metallica 「Enter Sandman」 音のみ

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

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初めまして。

毎回レビュー楽しみにしています。

メタル好きの友達に勧められたのがこのアルバムでした。
当時自分はハイスタなどのメロコアにハマっていて、メタルは全く聴かなかったのですがこれを聴いてメタルってカッコイイな、と思ったのを思い出しました。

所で捕鯨さんはアニソンなどは聴きますか?
自分は最初この類に偏見を持っていて嫌悪感を抱いていたのですが、聴いてみると意外にカッコイイ曲があったりして驚きました。
中にはやっぱりスゴいのもありますが^^;
機会があったら是非。

Re: 初めまして。

こちらこそはじめましてー。
コメントありがとうございますね。

ブラックアルバムはやっぱりかっこいいです。
普段メタル聴かない人でも、これなら聴けるって人多いんじゃないでしょうか。
もし聴いたことないなら、それ以前のメタリカにも触れてみてほしいです。

アニソンですか。実は全くの守備範囲外です。
印象に残っているものといえば…。

北斗の拳の「愛をとりもどせ」「Tough Boy」。
聖闘士星矢の「ペガサスファンタジー」あたりは、昔バンドでコピーして遊んでました。

古いっすね…。

なんかおすすめありませんか?僕も色んな世界触れてみたいです。
ディープなやつでも全然おっけーですので。

st.angerは聴いたことありますがこのアルバム以前は聴いたことが無かったのでこれを機会に今度聴いてみますね。



やっぱり菅野よう子さんの作る曲はカッコイイですね。
最近だとマクロスが有名ですけど、自分はカウボーイビバップの曲が好きですね。TANKは聴いたことがあると思いますよ。

アニメの主題歌で言ったら、らきすたと言うアニメのOPのベースラインがすごく格好良かったですね。
あとけいおんというアニメの曲もガールズポップって感じで良かったですよ。

長文失礼しました。

Re: タイトルなし

お返事有難うございますー。一通り聴いてみました。
正直最初はボーカルに違和感あったんですけど、2回目以降は慣れました。

普通にいいじゃないですか。

菅野よう子さん、らきすたの曲なんてジャンルレスで自由奔放ですね。
それでいて、すごくかっちりと作り込まれています。流行も意識している気がするし。
びっくりしました。日本のアニメ文化が海外で評価されるのもわかるなーって思いましたわ。

けいおんの「Cagayake!GIRLS」「Don't say "lazy"」 もいいですね。
前者はPerfumeがロックした感じで新鮮だし、後者はハードなギターがかっこいいです。
昔僕ZONE好きだったから、こういうのは結構聴けるんですよね。バンドでコピーしたら楽しそう。

またおすすめあったら教えてくださいねー。

No title

メタルファンを自称していないこの私でもブラックアルバムなら聴けますからね~。エンターサンドマンのヒットが無ければいまだにメタリカ未経験だったかも。S&MのDVD買おうかどうか迷ってるんですけどね。あれは映像で堪能したい。

アニメファンを自称していない私でも菅野よう子さんはいいですね。攻殻機動隊なら一時期はまりました。実に器用です。





Re: No title

ブラックアルバムの曲はやっぱり普通にかっこいいですからねー。
なんといっても演奏と歌が素晴らしい。これもあの時代だから生まれた名盤だと思います。

『S&M』は興味あるなら、絶対おすすめです。CDでも、DVDでも。
僕はCDで初めて聴いたんですけど、衝撃的でした。
メタリカとオーケストラとが、あそこまでハマるなんて、びっくりでした。

メタリカの叙情的な部分が、古のクラシックな旋律と、リンクする部分があるんでしょうね。
多くの人に聴いてもらいたいアルバムの一つです。
彼らが到達した頂点を記録したアルバムだと思います。
プロフィール

捕鯨船団

Author:捕鯨船団
1979年生まれ。
東京都町田市在住。
電子部品の技術開発に従事。

30超えにも関わらず、
楽器をドラムに替え、
学生時代以来のバンドを始めた
今日この頃。

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