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Chthonic 「Next Republic」

いい加減Chthonicのことはこれで終わりにしようと思う。


ライナーノーツにもあるように、『Mirror of Retribution』までのChthonicは
まずメタル曲を書いて、そこに東洋的要素を加えるという曲作りをしていたが、
『Takasago Army』はそれらを同時進行で行うという曲作りの手法を採っている。

その結果としてリリースされた『Takasago Army』は、
従来の彼らのアルバムとはやはり大きく異なるテイストのアルバムに仕上がった。
確かに今となってこれらのアルバムを聞き比べてみると、明確な違いが認められるのは事実。


『Mirror of Retribution』は、やっぱりブラックメタルがベースとなっているアルバムだった。
トレモロリフにブラストビートというその代名詞がほぼ全ての曲の中で見られる。
「The Aroused」なんて凄くCradle Of Filthっぽいと思った。

でも決して彼らは決して凡庸な単なる一ブラックメタルバンドではなかった。
その大きな要素が、台湾的な、東洋的なテイストの導入だった。
改めてそのキーとなる音を探っていくに、その効果は明確に「二胡」という楽器にあったのだと、
今の耳でこのアルバムを聴いていくと、思う。

実際初めて「Blooming Blades」を聴いたとき、
唐突に二胡のフレーズが飛び出してきたときには、おおーって思った。

その驚きは、単純なかっこ良さに基づくものではあったものの、
女子十二楽坊が使っているような楽器が、メタルに、
しかもかなり過激な部類に入るメタルに融合するんだという新鮮さという点が大きかった。

ザクザクのギターリフをバックに飛翔する二胡のメロディはあまりにも美しく
メタル的なカタルシスに溢れていた。

『Mirror of Retribution』はほぼ全ての曲で二胡が重要なパートを担っている。

名曲「Forty-Nine Theurgy Chains」は、
二胡なしではラストのドラマチックな展開を演出できなかったであろうし、
「Mirror Of Retribution」にしても同じことが言えると思う。

スノンという二胡専属のプレーヤーも過去に在籍していたくらいだし、
彼らは二胡という楽器にこだわりを持ち、この楽器をいかにメタルという音楽の中に融合させるか、
というコンセプトで曲作りが為されていたように感じられる。

勿論ギター、キーボードにも東洋的な要素が感じられなくはないけど、
決して二胡ほどのインパクトはなくて、
素直にかっこいいメタル的な音を鳴らしているという印象。

自分にとって昔も今もそうなんだけど
『Mirror of Retribution』は決して好きなアルバムではない。
勿論突出して好きな曲はあるんだけど、つまんないと思える曲もあるし、
何より全曲が同じようなテイストに溢れていて、飽きがくるからである。

それはやはりブラックメタルをベースとして、
ある意味定型化した曲作りをしていたからなんじゃないかと思う。
(あくまで自分の主観です。念のため)


でもそんな彼らが化けたのが『Takasago Army』だった。
前作から変化した点を上げればキリがないくらい。
実質的な1曲目「Legacy Of The Seediq」からして、変化点に溢れている。

二胡と合わせて東洋テイストを加える楽器として、
イントロでは琴をイメージとした音が導入されている。
そして、前作までもヘヴィなリフ、リズムの曲はあったけど、
更に重く、ずっしりとしたタメも感じられるようになった。

フレディのボーカルは、エクストリームなスタイルに変化はないにせよ
サビのパートでは「歌っている」ように聴こえるようになった。
そしてその音階はどことなく歌謡曲チック。
要所ではボーカルが重ねられて、重厚さが感じられるようになった。

この曲において二胡はサビのパートで使われているけど、
その存在感にボーカルが決して負けていないのが印象的。
曲の中に自然に二胡を溶け込ませた感じが、やはり前作との違いとして実感出来る。

言わずと知れた名曲「Takao」には更に大きな変化が。

ゲストとして台湾の演歌歌手を招くという離れ業。そして台湾語での歌の導入。
メタルの中に台湾テイストを入れるというより、
最早台湾の歌謡曲をそのまま取り入れたと言っても良いような仕上がり。

イントロの琴の音は絶大なインパクトだし、
これまでにはなかった三連リズムの導入は雄大さを多分に演出している。

この曲でも二胡は重要な役割を担っているけど、
Chthonic流ツインリードともいうべきギターとのユニゾンという聞かせ方で、
これまでにない二胡の使い方といった印象。

ドラムに関してもシンバルを廃してタムを叩きまくるような、
太鼓を叩いているかのように聴かせるようなフレーズが増えた。

「Southern Cross」における、フレットの上を指が走りまくるテクニカルなギターリフ、
コブシを利かせたチョーキングが効果的なギターソロ。
ギターに関して、個性が発揮され始めたもの印象的。

「KAORU」では女性演歌歌手まで登場。
全く違和感無く融合させてしまっているのは、改めて聴いても凄いと思う。

とにかく変化に溢れて、しかもそれを完全にモノにしてしまったのがこのアルバムの凄いところ。
今更ながら、完成度の高い、素晴らしいアルバムだったように思う。
このアルバムで、彼らは完全にオリジナルな音楽を作り上げた。
もうブラックメタルなんてカテゴライズは絶対に不要なところまで。

当時の自分がこれでもまだ満足していなかったんだから不思議だ。

ライブではかっこいいと思えるようになったけど、
どうしてもCDでは好きになれない「Oceanquake」が悪いんだろうな。
あとは何だかんだで音作りの不満はあったかも。ヘヴィだけど、もっさりしているというか。


このように『Mirror of Retribution』から『Takasago Army』へと、
大きな変化があった訳で、ここから更に彼らがどんな進化、
もしくは深化を見せてくれるのか、それが『Bu-Tik』に対する注目点だった。

何十回と聴いてきて感じるのが、台湾を象徴するような民族楽器が、
今回のアルバムでは更に数多く使われているものの、
それらが決して突出して聴こえなくなったということ。
二胡という楽器は全ての曲で使われているけど、決してメインという印象は受けない。

人によっては『Bu-Tik』は台湾テイストが後退したアルバムって言うかもしれない。
そんな印象を受ける。

それが何故かというと、バンドサウンド全体に、
台湾テイストが宿るようになったから、だと思う。

その要素を今回担ったのが、ジェシーのギタープレイだと思っている。

メタルという音楽に対して人それぞれ求めるものがあると思うけど、
個人的にはやっぱりギターが最重要な楽器だと思っている。
ギターの音色、フレーズがバンドサウンドを決定付けるということは間違いない。

Iron Maidenにせよ、Metallicaにせよ、Slayerにせよ
従来になかったギタープレイがあったからこそ、彼らは新しい音楽の境地を切り開き、
多くのフォロワーを生んだのだと思っている。

一方でChthonicにおけるギターは、要所要所では光るプレイは見せていたものの、
あくまでバンドの中における一楽器という印象を超えることは自分の中では無かった。

でも、このアルバムでは明らかにギターが主役と思えるような曲が並んでいる。
インタビューでジェシーは、ギターを取って、フレディがくれたもの(デモ)を聴くと、
自然に(メロディとソロが)出てくる、と述べていた。

個人的にはちょっと信じられないんだけど、
ここまでギタリストって変わるんだーって、驚きだった。

確かにライブ見る度に演奏のキレは素晴らしくなってたし、
『Takasago Army』完全再現ライブでのソロタイムでも相当に素晴らしい演奏キメてたし、
ニューアルバムでのプレイには期待していたけど、自分の想像を遥かに超えてきた。

ギターリフを一つ一つ追いかけていってもつまらないリフが全然無い。
インタビューでも語っていたけど、アジアの音階を取り入れたリフ、が素晴らしく、
ギターだけ聴いていても全然飽きない楽曲が揃っている。

何より素晴らしいのがギターソロ。
『Mirror of Retribution』あたりでは正直つまらないソロもあったし、
そもそも『Takasago Army』はそんなにギターソロが入っていなかった。

『Bu-Tik』はこれぞメタルって感じにギターソロが各曲に詰まっている。
でも決してソロありきの長いパートがある訳ではなくて、
あくまで曲を彩る一要素といった趣ではあるんだけど、存在感が抜群。
これまで二胡が担っていた役割をギターが担うようになったんじゃないかって思うくらい。

「Between Silence and Death」でのギタープレイは本当に素晴らしい。
『Mirror of Retribution』『Takasago Army』の流れを汲んだギターリフは、
より鋭利さを増した気がするし、トレモロフレーズは大いに哀愁を演出している。

サビのパートでは二胡に負けない哀愁のギターフレーズが炸裂。
台湾テイストを既にギターで演出できるようになってきた感じ。

中間部のギターソロは、これまた決して難しいことは一切やっていないんだけど、
クライマックスに向けた「転」の役割を見事に果たしている。

圧巻はラストのギターソロ。フレディのボーカルの裏でギターが飛翔しまくっている。
決して弾きまくらず、音を丁寧に繋いで、感動的なクライマックスを演出している。
この曲のバンドサウンドが終わって二胡のソロパートが出てくるけど、
アルバムの中で、ようやくここで二胡が主役になるって感じ。

また、「Resurrection Pyre」のギターソロも新機軸。
他の曲とは異なるスケールを使ったようなソロの組み立てになっていて、
中間部のダブルチョーキングの箇所にはおおーってなった。こんなソロ弾けるんだーって。

フジロックでも共演したマーティ・フリードマンに明らかに影響を受けているんだろうけど、
マーティの要素に従来のエクストリームなギタープレイが融合してきて、
かなり個性あるギタープレイヤーになってきたという感じ。

これまで二胡という楽器が担ってきた役割を、
ギターという楽器でも演出出来るようになってきたこと。
それが『Bu-Tik』における大きな変化点であると個人的には思っている。

初めてこのアルバムを聴いていて、
自分には『Takasago Army』の延長線上とは思えないなーって感想を抱いたんだけど、
それはギタープレイによるものなんだろうなと、後から気付いた。

『Bu-Tik』はアルバムのコンセプトが「闘争」であるから、
アグレッシブな曲が並ぶのは必然であったように思う。
当然ながらその表現においては、ギターの持つ攻撃性は有用であっただろうし、
だからこそギターが前面に出るようになった。

そしてその「闘争」の裏にある悲哀。

彼らが各曲で描こうとした闘争は決して成功していない。
闘争に向かった闘士達は皆、命を落としたり、闘争を余儀なくされたり、と。

でも、きっとその闘士達は、そんな自身の身の上に起こるであろう結末を覚悟した上で、
闘いに向かったであろうと想像する。

Chthonicが今作で描こうとした「悲哀」はそのような背景に基づくものだと思っている。
自由を求めて闘ってきた人々。しかし決してその願いは叶うことなく、多くの人々が倒れてきた。
その無念の表現。

このアルバムのコンセプトを掘り下げていく中で、「怒」と「哀」が純化され、
特にギターという楽器で表現される「悲哀」の深さが増したんだろうなと感じた。

ジェシーは今作のギターフレーズは自然に出てきたと述べているけど、
彼自身がギターで何を表現すべきか、
今作に関しては明確であったからじゃないのかなと想像する。


ジェシーのことばかり語ってきたけど、他のメンバーの演奏に関してもきっと同じで、
『Takasago Army』以上に情感に溢れたプレイを聴くことが出来る。

きっと『Bu-Tik』のコンセプトを各人が理解し、
彼らが為すべきものは何かという点をクリアにした上で、
各々が技術を磨き、そして魂を込めて演奏したのがこのアルバムなんだと思う。

「Next Republic」で感じられる情感は本当に凄まじい。
ギター、キーボード、ボーカル、そしてドラムとベースがイントロから渾然一体となって
襲い掛かってくるかのような演奏は圧巻だと思った。

表現したいことが明確になり、それを表現する手段を彼らは身に付けた。
その結果が反映されたのが『Bu-Tik』というアルバム。

たぶん今の彼らなら、民族楽器や台湾語の歌を省いても、
台湾テイストに溢れる楽曲を作り、演奏することが出来るんじゃないかと思える。
そんな境地に来たような気がするから、僕は『Bu-Tik』について、
単なる『Takasago Army』の延長線上には思えないという感想を抱いたんじゃないかと思う。


でもここまで来たら、次に彼らはどこに向かうんだろうと心配になってしまう。
これ以上台湾テイストの純化、深化を突き詰めることが出来るのか。
個人的には、二胡を一切使わないアルバムを聴いてみたい気持ちもあったりするけど、
それは彼らが選ぶ道だから、素直にそれを楽しみに待っていたい。

とはいえ、とにかく今はライブ。
『Bu-Tik』の楽曲はライブでどのように響いてくるのか。
前回披露された「Set Fire to the Island」が超絶的にかっこ良かっただけに、本当に楽しみ。

早くライブ観たい。観たばっかりだけど、またすぐ観たい。
そして『Bu-Tik』が世界的に売れて、もっと高いステージに彼らが上ることを願ってやまない。


うーん、これだけ書いてもまだ書き足りないなあ。
やっぱりまたChthonicのこと書くかも。


B00CBT1GHEBu-Tik
Chthonic
Spinefarm 2013-05-30

by G-Tools



Chthonic 「Next Republic」
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テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

Chthonic 「Supreme Pain for the Tyrant」

Chthonicの『Bu-Tik』がリリースされてから約2週間。
家にいる時間が少ないとは家にいるときは未だに垂れ流し状態で、
もう数十回は確実に耳にしていると思う。

リアルタイムでこんなアルバムに出会える体験ってめったにないから、
凄く幸せなことなんだろうな。


今回はアルバムを取り巻くコンセプトのことについて書いてみる。

インタビューで語られている通り、このアルバムのコンセプトは、
「正義のための戦い」「正当な理由がある防衛」であり、
過去の台湾の歴史上で起こった「闘い」が時代を超えて、各曲の中で描かれている。

その中で気付くのは、繰り返される闘いの歴史、というテーマ。

アルバムのイントロには「Arising Armament」というタイトルが付けられている。
耳慣れない言葉だけど「Armament」は「軍備」。
一方でアウトロのタイトルは「Undying Rearmament」。
「Rearmament」は「再軍備」。更にいうと「undying」は「終わることのない」との意味。

どちらのインストも打楽器をメインとした攻撃的な曲。
どことなく台湾の原住民が闘いに向かう前のシーンを連想させる。
ホラ貝の音色なんて、正に戦闘に向かうイメージにぴったり。

ライナーノーツに述べられている通り、この二曲には同じフレーズが使われている。
イントロからアウトロへ、そしてまたイントロへとループするような構成になっている。
「Undying Rearmament」の意味が示す通り、このアルバムで描かれているのは、
決して終わること無い闘争の歴史であることを示唆している。

「Supreme Pain for the Tyrant」の最初に
「Endless nightfall, swallow the sun」というフレーズが出てくる。

「sun」には様々な意味を込めていると思うんだけど、
一つの比喩として「台湾の明るい未来」そして「自由」という意味を込めていると想像できる。
一方で「sun」を飲み込む情景となる「nightfall」は「台湾の暗い歴史」そして「抑圧」。
終わりのない「nightfall」は闘いの続く台湾の歴史を指し示しているかのような。

続く「Sail into the Sunset’s Fire」。
曲のタイトルには前曲とリンクする「Sunset」という言葉が出ている。
決してsunriseではなく、sunset。
夕暮れに続くのは闇。自由を手にした海賊達が向かう先には闇。

そんな将来を比喩しているのかななんて想像してしまう。
当然ながら燃え盛る太陽の情熱に向かって、
力強く生きていこうとするポジティブなエネルギーに溢れてはいるんだけど。

「Next Republic」では「Nation will rise again」と歌われている。
この曲は台湾の独立のために闘った英雄達を描いた曲。
結果として、永遠の独立は達成していない現状。しかしながら、何回でも立ち上がる。
将来の独立に向けて、何回でも闘争する、というメッセージが込められているように思う。

「Building New order from the past's crimes」のために。

「Rage of my Sword」そして「Between Silence and Death」では、
「mountains high」という共通のフレーズ、
そして「river」「stream」とこれまた意味上で同一のフレーズが用いられている。

1721年の反乱から1970年の反乱。250年の時を経ても繰り返される闘争。
一方で山々そして河の流れは決して雄大さを失うことなく、そこに在る。
これらの自然に向き合ったであろう登場人物の心境は大いに異なるように思えるけど、
「mountain」「river」という言葉をこの2曲に登場させたのは意図的なものを感じる。

「Resurrection Pyre」に登場するのは「Phoenix」。
言わずもがなの不死鳥は、永遠に生き続けるものの象徴。
焼身自殺した活動家をその象徴として描いているものの、その背景にあるのは、
台湾の独立のために自由を求めて闘ってきた人々の魂。

その魂は現代も生き続けていることを、メッセージとして込めているんだと思う。

「Set Fire to the Island」には台湾語で「硝煙四起陣陣新性命」という歌詞がある。
俺達を撃つがいい、命は再び蘇る、という意味のよう。
前曲でも歌われているけど、過去の闘争の中で受け継がれてきた魂は、
やはり自分達が死んでも決して生き続けるという意志が込められているように感じられる。

「Defenders of Butek Palace」には
「Sunset decries, nightfall's demise」というフレーズが登場する。
先の「Endless nightfall, swallow the sun」と対応するかのように。

夕日の非難。夕暮れの死。
とうとう夕日も沈んでしまって、闇の世界に入ってしまったことを暗示しているかのよう。

そして結局「Violence returns」と歌われる。
暴力の連鎖は未来も続いていく。ひょっとしたら千年、いや一万年も。


アルバムのコンセプトを素直に読み取ろうとすれば、非常に絶望的である。

他国の人間がとやかく言う話ではないことを承知の上で言えば、
台湾の歴史の中で、真に台湾が独立していた時代は非常に短い。

過去の独立運動が実を結んだケースは非常に少ないし、
現実として今でも台湾は中国の一部としてみなされ、
国家としての承認は未だに得られていない。

Chthonicのメンバーが中国からの独立を志向しているのは公知の事実だけど、
そんな彼らが決してただ単純にそんな絶望的な歴史と事実を描こうとしたとは思えない。

人間の歴史の中で暴力が消えた瞬間は無いといっていい。
世界ではいつの時代にも戦争が起こっているし、これからも繰り返されるであろう。
彼らはそのことを肯定する。正義のための暴力を肯定する。

ひょっとしたら、永遠のループの一つのピースになってしまうのかもしれない。
決して直接的な暴力行動を彼らは起こそうとしている訳ではないけど、
彼らの行動に対し、想定される一つの帰結に対する覚悟を描いたのが
このアルバムだったのかなと自分は思う。

台湾の独立のために自由を求めて闘ってきた人々の魂を、
現代に生きる彼らは受け継いで、そして闘っていこうとする覚悟。
永遠に繰り返されるであろう闘いに対する覚悟。

かなり大げさな言い方だと思うけど。


尚、ジャケットのアートワークには女性、子供、老人が描かれている。

インタビューでは、
「女性や子供、老人のような弱い立場の人々も、
武器を持って現在と未来の正義と平等のために戦うべきだ」
ということがテーマになっていると述べられている。

女性、子供、老人に共通するのは裸であるということ。
但し、各人には機械のようなものが身につけれられている。

子供はチューブのようなものに絡み取られて、台湾の歴史の中に絡み取られているかのよう。
老人は目を合わせて祈りを捧げている。将来の独立、平和を願っているのだろうか。
勇ましく戦場に向かうかのように見える女性。髪と肌の白さは何の象徴なのか。
中ジャケでは地べたにひれ伏している姿。こちらも何を象徴しているのか。

このジャケットにはまだ謎が多いので、将来的に語ってほしいなあと思う。
謎は謎のままで良いってのも事実だとは思うんだけど。


日本という国は過去の歴史の中で非常に長い間独立状態を保っている稀有な国家なので、
Chthonicのメッセージは過激で、なかなか理解しにくいところがあると思う。
実際の自分も、彼らほどリアリティを感じて、彼らの音楽に向き合えている訳ではない。

でも想像力を膨らませて考えることは出来る。

「正義のための戦い」「正当な理由がある防衛」に対して、僕は全面的には肯定しない。
暴力は連鎖するのが歴史の事実であって、もっと異なる手法を追求しようとするのが、
人間のあるべき姿だと思うから。

一方ででも「正義のための戦い」「正当な理由がある防衛」を決して全面的に否定はしない。
自分が大切な人の命が奪われようとしているとき、自分が立ち上がらないかといえば、否である。

世界を変えるには、一体どうすれば良いのか。
多くの先人達が取り組んできたテーマに、頭の足りない自分みたいな人間も、
少しは考えないといけないよなー。


大分脱線したけど、とにかくまだまだ語り足りないChthonicのニューアルバム。
日本で派手なアクションは聞かないけど、売れてんのかな?それが心配。


B00C1P3IC4Butik 武徳
ソニック
ハウリング・ブル・エンター 2013-05-29

by G-Tools



Chthonic 「Supreme Pain for the Tyrant」
CJの役柄がかなりハマってるw これも力作なPVだなあ。

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

Chthonic 「Defenders of Bú-Tik Palace」

自分は元々新譜というものは、本当に好きな数少ないバンドのものしか買わない。
まだまだ自分には聴かなくてはいけない歴史的なアルバムというものが沢山あるし、
ある程度評価が固まったアルバムを聴く方が外れを引く可能性も小さいと思っているからである。

金のなかった若かりし頃、音楽を自由に聴ける時間が減った社会人生活の今、
いずれの立場においても、それは合理的な選択であり、それは間違った行為だとも思っていないし、
実際それで数多くの素晴らしい音楽との出会いがあった。

そういった合理主義者である自分にとっても、
例えどんな内容であろうとも、絶対にニューアルバムは
発売日に即買いすると決めていたバンドがあった。

今自分がヘヴィメタルとカテゴライズされるバンドの中で最も好きだと言えるバンド。
メタルの枠を超えても、少なくとも5本の指に入ると思える大好きなバンド。

かつて伊藤政則氏がJudas Priestの『Stained Class』のライナーでこんなことを言っていた。

ジューダスプリーストよ、僕は歩兵でいい。喜んで最前線に切り込んで行こう。
今更遠慮てするなよ。かまうことはない、
この僕の体を踏み越えて、さあ栄光の王冠を握ってくれ。
君たちの栄光は僕の誇りでもあるのだから。もう僕は君たちにこの身の全てを委ねた。

勿論自分なんかとは立場も関係の深さもレベルが数100倍は違うんだろうけど、
でもこの文章のバンド名をそのまま置き換えてしまいたいバンド。

僕にとってそんなバンド、Chthonicのニューアルバム『Bu-Tik』を今日聴いた。

このアルバムに関しては一切情報を絶っていて、
ストーリーも世界観もアルバム制作における諸々なんかも一切分からない。
当然先行音源も聴いていないし、PVも見ていない。

ひょっとしたら色々と理解していくうちに感想は変わるんだろうけど、
発売日当日、正にその時の自分の感想を書き留めておくことに意味があると思うので、
書いておくことにする。


アルバムのジャケットはデジパック仕様での質感の影響はあるにせよ、
今までのアルバムとは異なり、非常にすっきりとしたデザインとの印象を受けた。
モデルの女性の肌の白さ、髪の白さが、
メタルといえば黒、という観念が刷り込まれた自分の目には新鮮に映る。

表ジャケには刀とロボットアームみたいな武器を装着した裸の女性。
裏ジャケには顔に機械が繋がれた、肩を露出してこれまた裸に思える老人。
そして中ジャケには全裸の赤子。

ジャケットに映る人々はみんな裸。その点がまず目についた。
どんな意味が込められたものなのか。

イントロの「Arising Armament」。
ほら貝のような音色で始まり、これまで以上に打楽器を前面に押し出したインスト。
アルバムのツアーではライブ前のSEになるんだろうけど、
今まで同様に気分を高揚させること間違いなしの曲。

続いて「Supreme Pain for the Tyrant」がスタート。
いつも通りに叙情的なギターとキーボードの音が印象的な曲。
でもボーカルが入ると共にギターリフとリズムがめまぐるしく展開していく。

個々のパートを取ってみれば分かりやすいんだけど、
そんな目まぐるしい展開ってのが、何気に今までにないタイプの曲だと思ったり。
ジェシーのギターソロはアクセント程度で難しいこと一切やってないんだけど、
凄くインパクトがある。

終盤にかけては民族楽器もふんだんに盛り込まれ、怒涛の展開。
いきなりの名曲。即効性は低いかもしれないけど、
自分にとっては非常にインパクトのある楽曲だった。

「Sail into the Sunset’s Fire」はツインギターのリフが印象的な、
非常に勇ましい男臭い曲。ライナーにヴァイキングメタル風とあったけど、
自分も同じ印象を受けた。でも決して単純なそれにはならず、なぜか台湾っぽいというか、
不思議と彼らがやると、土着的な台湾風の曲に聴こえてしまうんだから不思議。

フレディの歌がサビのところは、かなり歌っているように聴こえる。
いつも通りのガナリ声なのに。あの勇ましいキーボードのフレーズと共に。

「Next Republic」はイントロのギターフレーズがいきなりかっこいい。
続いてのリフがこれまたかっこいい。歌が入ってからもまたかっこいい。
かなりヘヴィでアグレッシブなんだけど、メロディの洪水。

でも雰囲気は一変して、いかにもモッシュ起こって、
ヘドバン起こってというライブの風景が目に浮かぶような展開。
このアルバムの楽曲、前作以上にアグレッシブなんだけど、
盛り込まれているメロディの量が前作よりも増えているように思える。

この点、ひょっとしたら賛否あるかもしれないけど、自分にとっては明らかに「賛」。
初聴のとき、4曲目の段階であまりのかっこ良さに感激すら覚えてしまった。

雰囲気は一転してバグパイプ調の音色で始まる「Rage of my Sword」。
どんな楽器使ってるんだろう。でもこの曲は実際相当にアグレッシブ。
今作はブラストないのかなとも思ってたけど、やっぱ入ってきた。短いけど。

この曲もフレディの歌唱が素晴らしい。前作も悲哀の表現という点では聴き所満載だったけど、
今作は更にスケールアップした印象。
きっと曲に込めた「想い」が彼を突き動かしているんだろうなと想像する。
ここら辺はもっと歌詞世界に入り込めば、また色々と解き明かせるのかもしれない。

ジェシーのギターがここでもかなり躍動している。ジェシーいいよー。

そして「Between Silence and Death」へ。
初聴で最もインパクトあった曲がこれだった。めちゃめちゃかっこいい。
ギターリフに関しては旧作の質感に近いんだけど、叙情的なサビのパートが本当に素晴らしい。

言葉では上手く言えないけど、一線を越えた美しさ。
シンフォニックブラックの叙情性に、彼ら特有の台湾テイストが融合し、
彼らにしか為しえない音楽の域に到達したかのよう。

ラストのパートではジェシーのギターが泣いている。
本当に彼はプレイヤーとして一皮も二皮も剥けた。
叙情的でありながら、そことなく明るさも感じられる音の選び方が本当に素晴らしい。

勿論バックの演奏もその叙情性の発現に対して、大いなる貢献をしている。
全ての楽器が渾然一体となった本当に素晴らしいドラマチックな展開。
アルバムのハイライトと言える超名曲。

そしてまた繰り広げられるアグレッシブな「Resurrection Pyre」。
音の壁が非常に濃密。そしてリズムパターンがめまぐるしく変わる曲なんだけど、
嫌らしさを感じさせずにさらっと聞かせてしまうのが彼らの真骨頂といったところ。

ジェシーのギターソロがこの曲もかなりかっこいい。
チョーキングを駆使していて、ちょっと今までとは違うソロの組み立て方をしているように思う。
ラストの合唱、そしてバックの音も相当に色々と重ねられていて、
正にクライマックスといった雰囲気を作り上げていく。

「Set Fire to the Island」は3月の来日公演にて演奏されていた曲。
当たり前のようにかっこ良かったんだけど、アルバムだとどんな風に聴けるのか楽しみにしていた。

作り込まれていると感じるこのアルバムの楽曲だけど、
この曲はその中でも最もストレートで分かりやすい曲のように思える。
ジェシーのギターがここでも大活躍。ジェシーのことばっか書いてる気がするけど、
実際そう感じるんだから仕方が無い。ギターソロは本当に素晴らしい。

ラストの女性ボーカル入ってくるパートにはゾクっと来た。

あっという間に実質ラストの「Defenders of Butek Palace」へ。
これもアグレッシブな楽曲。てか今回のアルバム、力で押し切る内容。一気に駆け抜ける。
完全再現なんてやられたら死んでしまうんじゃないの?

こういう音楽って、同じような曲調ですぐ飽きるアルバムってのが多いけど、
このアルバムは全然飽きがこない。色々な楽器の音が詰め込まれているからのように思う。

でもそれが決して過剰には聴こえない。
そのからくりについてはもう少し聴き込んでみて明らかにしていこうと思うけど、
でもこのアレンジのクオリティは凄いと思うよ、ほんとに。

ラストのフレディの絶叫はこれまた凄まじい。
女性ボーカル入ってきてからの展開がまたかっこいい。

アルバムのラストを締めくくるにふさわしい名曲。
てか今回のアルバム名曲だらけじゃん!

アウトロとして「Undying Rearmament」が挿入されて、終了。
ライナーにも書いてあったけど、これがイントロになっても確かにいける。
アウトロがループになってと。なるほど。

歴史は繰り返される。
凄く稚拙な書き方になるけど、人間の本質を追求したとき、
直面する出来事は、それである。

もっとこのアルバムのことを理解していく鍵として、
この点はしっかり押さえておかないとなと思う。


『Bu-Tik』を初め聴いていたとき、段々と自分の中に感激の気持ちが沸いてきた。
ここまで自分の期待に応えてくれたニューアルバムって、久しく出会ってなかったような気がする。
2000年代のアルバムには少なくとも感じたことなかったような気がするから(事後はあるけど)、
かなり貴重な体験をさせてくれたような気がする。

勿論、Chthonicのことが好きだから、余計なバイアスがかかっているのは承知している。
でも、明らかにこのアルバムは名盤だと思う。
彼らにしか作りえない、世界に通用するアルバムを彼らは作り上げた。

『Takasago Army』がリリースされたとき、当時僕は決して熱狂的なファンではなかった。
そのせいもあることは否めないけど、
僕はこのアルバムに「期待通りの出来栄えではあれど、期待以上ではなかった」
という感想を抱いている。当時書いてたブログに、はっきりとそう書いてある。

そうとはいえ、『Takasago Army』は、アルバムの中のストーリーにどっぷりと浸かって、
そしてライブでの体験を経ていく中で、自分の中での名盤という評価は固まっていった。

でも『Bu-Tik』の場合は、一発目から、これは凄い、これは凄いって、
明らかに気分を高揚させるものがあった。微妙な曲なんて一つもない。
全ての曲に自分は引き込まれてしまった。

自分がメタルに求めるもの全てがこのアルバムに詰まっているような気がする。
俺はきっとこんなメタルが聴きたかったんだろうな。

BURRN流に点数付けるなら99点。
感想が異なる人には申し訳ないですとしか言えないけど。

あと、普段日本盤なんて買わないんだけど、
『Bu-Tik』は絶対に日本盤買った方がいいです。

前田岳彦氏渾身のライナーノーツ。『Bu-Tik』を理解するのに、
絶対に助けになること間違いなしですね。
正直前田氏はもっと書きたかったんだろうなーという思いがひしひしと伝わります。
こういうライナー書いてくれるなら自分ももっと日本盤買うんだけどな。


アルバムの感想書いていて、
どうしてもジェシーとフレディのことばかり書いてしまったけど(好きなので)、
決して他のメンバーの演奏が微妙かというと決してそうではなくて、
ドリスもダニもCJもそれぞれも明らかにレベルアップしている。

ドリスとダニは本当にいいリズム隊になったなーと思う。
リズムに関しては、別に超絶フレーズ入れるようになった訳ではないけど、
明らかに前作よりも色々なことをやっているし、より切れ味が増して鋭利になった感じ。

音質面の向上って側面も大きいと思うけど、
リズム楽器がよりメロディアスに聴こえるようになったと思えるし。
中~高音域のベースの音はかなり好みだなあ。


とりあえず勢いに任せて感想を書いてみた。
稚拙ではあるけど、自分はプロではないし、これでいい。
本当にいいアルバム作ってくれて良かった。

それではアルバム4周目を聴くことにしよう。

早くライブでこのアルバムの曲聴きたいなー。
メンバーにもまた会いたいなー。


B00C1P3IC4Butik 武徳
ソニック
ハウリング・ブル・エンター 2013-05-29

by G-Tools



Chthonic「Defenders of Bú-Tik Palace」
初めてPV見たけど、何か格ゲーみたいだなw CJ強すぎだろ。
かっこいいけど、やっぱり単品よりアルバム通して聴いた方がかっこいいと思った。

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

ChthoniC 「KAORU」

映画『セデック・バレ』を観てきた。
http://www.u-picc.com/seediqbale/about.html

1930年に起きた台湾原住民による抗日暴動事件の霧社事件を描いた、台湾の映画。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9C%A7%E7%A4%BE%E4%BA%8B%E4%BB%B6

結論から言うと、凄く面白かった。
決して自分は映画を多く観るタイプではないにせよ、これまで観てきた映画の中では、
トップレベルの感銘を受けたような気がする。

基本的には史実に基づいたストーリーで、
セデック族を支配する日本警察は悪者として描かれている。
この面においては、短絡的な見方をすれば「反日」映画として捉える人もいるのかもしれない。

でも監督が明確に否定している通り、決してこの映画は反日映画ではない。
監督のインタビューにおける下記の言葉がそれを物語っているし、
実際に映画を見ればそれが理解できるはず。

「他者の価値観や信仰を否定した時、衝突が起きる。
 映画には完全な善人、完全な悪人は出てこない。絶対的に良い文化などない。
 異なる価値観を認め、真摯に向き合った時、互いを理解できるのではないか」

http://topics.jp.msn.com/entertainment/china/article.aspx?articleid=1793596

安藤政信演じる小島源治は、家族が殺されるまでは
台湾人からも信頼される善人として描かれていたし、
台湾守備隊司令官の鎌田弥彦は当初こそ原住民をバカにした態度を取っていたが、
闘いの中で彼らに感銘を受け、武士道の精神を引き合いに出すほどの理解を示すようになる。

決して二元論的な善悪の観点で、全ての日本人を悪人として描くのではなく、
バランスを取って描ききろうとする配慮が感じられた。
安藤政信、木村祐一は台湾でも人気みたいで、彼らを起用した狙いも、
日本人=悪という観念を直感的に抱かせないためという狙いがあったらしい。

マヘボ社と対立するトンバラ社はセデック族という台湾原住民でありながら、
日本人と組み、鎮圧側に回る訳だけど、決して悪者として描いてはいない。
頭目の苦悩がしっかりと映画の中で描かれていて、
裏切り者というレッテル付けを拒否するかのような配慮が見られる。

自分はこういう歴史の描き方が好きだ。

歴史における事実は一つしかない。起こった出来事は一つだけである。
そこに対して、どのような評価を行うかが千差万別となる。

個人的な印象だけど、例えばアメリカ映画なんかは、
善悪をはっきりさせて歴史を解釈する傾向があるように思うし、
某近国などは、日本=悪という描き方が刷り込まれているように思える。

そんな中で、出来るだけ善悪の評価付けを回避し、
ありのままに歴史を描こうと配慮したこの映画が、
自分にとっては日本人的にも思えて、凄くしっくりくるように思えた。

勿論英雄的側面を強調するために、戦闘においてセデック族がある意味無双的に描かれ、
史実と異なっている点があるなど、非難されるべき点があるのは事実。

日本側の死者は兵士22人、警察官6人である一方で、
セデック族側の死者は自殺者含めて700人ほどとされているが、
映画の中では明らかに日本側の方が被害が甚大であるかのように描かれている。

でも、自分にとってはそんなことはどうでも良いと思えた。
先に述べたような歴史の描き方が自分にとってしっくりときていたということもあるし、
単純に戦力的には劣勢なセデック族側が、圧倒的戦力に立ち向かっていく姿は、
民族の壁を越えて痛快に感じられたという点が大きい。

自分はこの映画を観て、日本と台湾の信頼関係がなければ、作れない映画だと思った。

歴史的な事件の映画化は、その事件が近代であればあるほど、物議を醸すように思う。
描き方によっては、最悪外交問題に発展しかねない。

でも幸いにして、台湾と日本は現在凄く良好な関係にある。
短絡的に「反日」と捉えられかねない題材であっても、
日本相手ならばきっと作品として受け入れてくれるであろうこと。

その信頼感があるからこそ、監督はこの映画を制作出来たんだと思うし、
日本上映を望んだんだと思う。

それでも監督は日本での評価に凄くナーバスになっていたようだけど。
映画館での挨拶で、この映画での描き方が
日本の人々に受け入れられるか心配しているって言ってたし。

少なくとも映画館で一緒にこの映画を見た人達は、明らかに監督の意図を理解し、
『セデック・バレ』という映画を受け入れていた。

第一部、第二部ともにエンドロールが終わるまで立ち去る人なんで一人くらいだったし、
終演後にはグッズ売り場や監督の周りには人だかりが出来てたし、
人々の話し声に耳を傾けていても、映画を賞賛する声が全てだった。

とにかく素晴らしい映画。
各々のシーンを取り上げて感想を綴っていたら、ブログの記事が5本くらい書けそうな感じ。

ネタバレは良くないから詳細は書かないけど、
日本警察として登用されたセデック族の若者、花岡一郎、二郎が
台湾人と日本人の狭間に立ったが故の苦悩、
そしてセデック族の女達の「強さ」には、涙が出そうな切なさがあった。

難しい話は抜きにしても、ストーリーは凄く面白く、
あっという間に物語に引き込まれてしまう強い力を持った映画。
合計4時間36分という超大作だけど、あっという間に時間が過ぎていく。

本当に多くの人達に観てもらいたいと心から思える映画。
決して賞賛ばかりではないだろうけど、絶対に各々の心に響くものがあるはず。

歴史の中に、自国と交わった他国の歴史の中に、
未来の自国が進むべき道を見出すことが出来るような、そんな映画。

ちなみに、映画を見終わった後に、配給会社の社長さんと話す機会があった。

台湾で『セデック・バレ』が公開されたのが2011年で、日本で公開されたのが2013年。
これだけ間が空いた理由について聞いてみたんだけど、
やっぱり映画館側との調整に時間がかかったんだと言っていた。

監督含め配給側はとにかく4時間36分の完全版の公開にこだわっていたんだけど、
大手シネコンなど、完全版の公開は認めない映画館が多く、
上映の交渉が長引いたことがその主要因になったと言っていた。

同時に日本も当事者になっている事件を描いているという政治的なデリケートさも、
少なからず影響したということも言っていた。

こういった映画こそ多くの日本人に触れてほしいのに、
このような現実があることは、やっぱりちょっと寂しい。

日本の映画界に関しても、もっと『セデック・バレ』のような、
人間の本質をえぐるようなスケールの大きな映画が生まれないことが残念だと言っていた。
そんな映画にお金が出ないから仕方ないんだけど、と。

ま、配給会社の人はでも、こういう状況を変えられるように頑張りたいと、
力強く語ってくれたわけなんだけど。
彼の想いが届いて『セデック・バレ』がヒットすることを祈ってやまない。


元々この映画を観たのもやっぱりChthonicというバンドがきっかけであることは間違いない。
『Seediq Bale』と正に『セデック・バレ』を描いたアルバムを作っているくらい、
台湾の歴史を自らの音楽に描いているバンド。

ちなみに、『Takasago Army』は武装蜂起を起こしたセデック族含めた
台湾原住民により構成された高砂義勇軍を描いたコンセプトアルバム。
『セデック・バレ』を観てからこのアルバムを聞き直すと、
なんかまた違った世界が自分の前に現れるようで面白い。

Chthonicファンの方はやっぱりこの映画は観るべきですよー。


B0055542XGTakasago Army
Chthonic
Fontana Universal 2011-09-06

by G-Tools



ChthoniC 「KAORU」

テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

Chthonic 「Quell the Souls in Sing Ling Temple」

一昨日、昨日とChthonic漬けの日々だった。Chthonic狂想曲。


事の始まりは、ライブ前のバックステージ招待に当たったとこから始まる。
今までバックステージ招待とか、ミート&グリートみたいな企画に参加したこともないし、
そもそも応募したこともなかった。でも彼らの場合は、今までの感覚とは違って、
会ってみたいって思って、そんで応募してみたら、当たった。

本当に縁なんだろうなと思う。初めて応募したこういう企画で当たるなんて。
ハウリングブルの方々、ありがとうございました。

ライブ前、スタッフさんに連れられて、サウンドチェック中の会場内へ。
ダニ、CJ、ジェシーがお互いのフレーズに合わせながら音合わせしている。
そこにドリスとフレディが加わって、新曲を演奏し始めた。

これが超絶的にかっこ良かった。バックにはチベット紛争と思われる闘争の映像が流れていて、
その映像とのコラボレーションがまた素晴らしかった。
当然リハだから、メンバーは派手なアクションはなく、淡々と演奏が進む。
なんかでもその淡々とした感じが、ライブ前に静かに燃え上がるメンバーの気持ちを感じられて、良かったり。

音楽的にはもう『Takasago Armiy』で確立されたChthonicスタイルそのものなんだけど
更にスケール感が増した印象。かっこいいとしか言いようがなかった。
遠慮しちゃったけど、思いっきり身体動かしてノリたかった。

新曲のリハを途中で切り上げて、メンバーがステージから降りてくる。
そして僕達はステージ近くに行って、メンバーの皆さんとご対面することに。

メンバー一人一人と握手して、軽く一言声かけて、そして一緒に写真を撮ってもらった。
メンバー全員のサインも貰った。
これまでのライブと彼等の活動を見てきて想像していた通り、
とにかく彼らのいい人達オーラが半端じゃなくて、本当に感激した。

あれだけ激しい音楽やってるのに、本当に温和な人柄で、
自分が台湾に旅行したときに感じたような、温和で親切な台湾の方々そのまんまという印象だった。
一緒に写真撮ってもらうときはちゃんとポーズ決めてくれて、声かければ笑顔で対応してくれるし。
みんな言うと思うけど、ドリスさんは超綺麗で、そしてとんでもなくいい人でした。

言いたいことはたくさんあったけど、伝えたいことの半分も伝えることは出来なかった。
でも日本のファンとして、彼らの日本に対する想いについて、感謝していることは、
少なくとも伝えることが出来たと思うし、本当に幸せな体験だった。

あっという間のバックステージ招待が終わって、放心状態に。
なんか凄い経験しちゃったなーって思って、緊張で喉が渇きまくって、
ライブ前にビールをがぶ飲みしてしまった。


そしてライブ本番へ。会場は七割くらいの入りといったところ。
『Takasago Army』がリリースされてから4回目の来日、平日のライブ、
単独では過去最大規模の会場ということで、観客の入りを心配していたけど、
決してガラガラではなかったのは幸いだった。個人的にはもう少し入ってほしかったけど。

でもおかげでステージ前方のフロアには余裕があって、
暴れたい人はいくらでも暴れて下さいってな環境。
いつものようにステージ前方に行って、メンバーの登場を待つ。

「The Island」のSEでメンバーが一人一人登場して、その度に湧き上がる大歓声。
そして最後にフレディが登場して「Legacy Of The Seediq」がスタート。

イントロからして、今までのライブと音が違った。
Chthonicのライブって今まで各メンバーの音の分離が凄く悪くて、
音作りにいつも不満をもっていたんだけど、今回の音作りは非常に良かった。

特にジェシーのギターと、ダニのドラムの音が素晴らしい。
ジェシーは元々上手いギタリストだなーって思ってたけど、
ミュート効かせたリフの切れ味は過去最高レベルで、バンドの演奏を引っ張っていたように思う。

ダニのドラムもまず音作りが良くて、それぞれの太鼓の音がしっかりと聴こえてくるようになった。
これまでのライブでは時たま勢いに欠けたり、リズムが不安定になったりと、
正直頼りない部分があったんだけど、今回はそんな面が完全に払拭されて、
Chthonicにダニありと、個性を発揮してくるようになったなーと感じた。

ドリスとCJの堅実なプレイと派手なアクションはいつも通りの安定感。
やっぱりドリスエリアには野郎共が沢山集結して、大いに盛り上がっておりました。
CJのヘッドバンギングも流石の切れ味。

そしてフレディのパフォーマンスはやっぱりここでも素晴らしかった。
正直バックステージでは気のいい知性溢れたお兄さんって印象で、
メンバーの中では最も普通の人に見えるんだけど、
メイクしてステージ上がると、あれだけカリスマ性溢れた男になるんだから不思議だ。

いつものようにステージ左右を広く使って観客を煽りまくる。
ずっと前の方にいたから後ろの方はどうだったかよく分からないけど、
少なくとも自分にとっては「Legacy Of The Seediq」一発で、
いきなり観客の心を掴んだような気がした。

そしてバンドを新たなステージに引き上げた名曲「Takao」へ。
この曲では思い切り頭振っていて、モッシュピットに加わっていて、我を忘れていた。

サビでは恐らく初めて日本でも台湾語の合唱が起こった。
大合唱にはならなかったにせよ、この曲のサビを日本人が少なからず歌うようになったって事実は、
彼らのこれまでの活動が実を結んだ一つの成果であるように思った。

本音言えば台湾レベルの大合唱をしたかったけど、でも周りで歌う人が増えたことは本当に嬉しい。
フレディも満足しているように思った。

「Oceanquake」はリリース当初はあまりピンとこなかった曲だけど、
すっかりライブの定番となった今は自分のフェイバリットの一つになっている。
「Southern Cross」はジェシーのギターソロがかっこいい。ギターのフレーズに合わせて、
おーおーおー、おおーおーおーって歌ってたら、周りの人もちょっと合わせてくれて面白かった。

引き続き「Kaoru」へ。この曲は渋谷クアトロで観たときに一番良かったと思う曲だったんだけど、
しばらくライブでやってなかったように思うから、やってくれて嬉しかった。
特攻隊を描いたこの曲。最初から最後までメンバーの情念を感じる気合の演奏。
この曲はChthonicを象徴する曲だと思うから、今後もライブの定番として演奏してほしい。

「Broken Jade」の前でフレディは、台湾と日本は前世紀、約50年の歴史を共有してきた。
そしてこれからの未来も、両国が歴史を共有していきたい、というようなことを言っていた。
陳腐に言い換えれば、日本と台湾、これからも共に歩んでいこうぜっていうこと。

Chthonicというバンドの登場によって、台湾と日本の歴史について学んだっていう人は多いと思う。
正直なところ、自分もその一人だった。日本人と共に闘った台湾人の歴史について。

歴史の評価については人それぞれの意見があっていいと思うけど、
決して捏造や隠蔽なく、歴史というものをありのまま見つめることの大事さを
改めて彼らは教えてくれたような気がした。

ラストには玉音放送がずっと流れていたけど、
観客はあれだけ暴れていたのにも関わらず、その時はただじっと聴き入っているのが印象的だった。
各自、様々な思いで聴き入っていたんだろうなと想像する。

とにかく今回の「Broken Jade」はMCから終始、素晴らしいパフォーマンスだったと思う。

「Root Regeneration」のSEを挟み「Mahakala」でまた熱狂が再開。
暴れたりない野郎共がこの曲のときにはかなり暴れていたように思う。
この曲もライブの方がかっこいい。改めて『Takasago Army』はライブ映えする曲が多いと実感。

あっという間にラストを締めくくる「Quell The Souls In Sing Ling Temple」。
ラストのギターソロでは名残惜しくて、あー終わってほしくねーなーなんて考えていた。

正直あっという間の出来事だった。
『Takasago Army』というアルバムは本当に思い入れを込めて
聴いていたアルバムなので、ニューアルバムリリース前に、完全再現という形で、
このアルバムの曲たちをライブで聴けたのは本当に幸せな体験だった。

『Takasago Army』に対する期待は相当に高かったので、リリース当初はいいアルバムだと思ったけど、
彼らのポテンシャルからしたら物足りない面もあるなーって思っていた。
でも世界中でライブを積み重ねた、今の彼らが演奏する『Takasago Army』は文句なしの超名盤だった。
とにかく素晴らしいライブだった。

完全再現の後は「Forty-Nine Theurgy Chains」「Rise Of The Shadows」
「Mirror Of Retribution」と『Mirror of Retribution』よりキラーチューンを投入。
当然のように盛り上がる。

時間軸的には『Takasago Army』の続きとして『Mirror of Retribution』がある訳だから、
そんな歴史の流れを意識して『Takasago Army』の後に『Mirror of Retribution』の曲を固めるっていう
セットリストにしたんだろうと思う。ライブのときは気付かなかったけど。

アンコールでは、始めにダニとジェシーが出てきてセッションしてたんだけど、これが非常に良かった。
今までメンバー同士のセッションタイムってのは無かったように思うので、凄く新鮮だった。

ジェシーはマーティーフリードマンばりの音階で、コブシきかせたヴィブラートとチョーキング。
一緒にライブ出てたし、マーティーの影響を相当受けていそうな気がする。
つーか、相当にいい泣きのギターだった。マーティーレベルのギタリストになれるんじゃないかな、マジで。
あーいうメンバー同士のセッションタイムは今後も続けてほしい。

そして彼らの闘いのメッセージを告げるかのような「UNlimited Taiwan」。
これまでの台湾の歴史を踏まえた上で、アンコールにて彼らは新たな闘いを宣言する。

limited vision, limited union
unlimited division, unlimited illusion
limited freedom, limited right
unlimited island, unlimited fight

そしてラストは新曲「Set Fire To The Island」。
ドリスの写真集のタイトルにもなっていって、きっとそこでのメッセージとリンクしているであろう曲。
歌詞分からないので、どんなこと歌ってるか分からないけど、
バックでの映像を見る限り、闘いのメッセージが込められた曲なんじゃないかと想像する。

「Set Fire To The Island」は「火焼島」のこと。
政治犯収容所があった島ということで、やはり闘争とリンクしているものがありそう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E5%B3%B6%E9%83%B7

こうやってセットリスト振り返ってみると、凄く考え抜かれていて、
このライブに懸けてくれた想いというものを本当に実感する。
『Takasago Army』のツアーは今日でファイナルだとフレディが言っていた。

その最後を締めくくるのにふさわしい渾身のライブ。
『Takasago Army』が彼らのキャリアの中でブレイクスルーになったことは間違いないし、
このアルバムによって、世界中に名前を売ることになったと思う。

次のニューアルバムは新曲を聴く限り、本当に期待できる。
アジア人が嘗て到達したことのない境地へ、世界的なバンドを目指して、
彼らにはこれからも頑張ってもらいたいと思う。

文句なしで、素晴らしいライブだった。


(セットリスト)2013.3.7 渋谷O-EAST
The Island
Legacy Of The Seediq
Takao
Oceanquake
Southern Cross
Kaoru
Broken Jade
Root Regeneration
Mahakala
Quell The Souls In Sing Ling Temple
Forty-Nine Theurgy Chains
Rise Of The Shadows
Spell Of Setting Sun:Mirror Of Retribution

G Solo
UNlimited Taiwan
Set Fire To The Island


まだ実は続きがあります。

ライブ後、Chthonic好きの方々と一緒に飲みに行ってメタルトークを交わして、
次の日のChthonicのイベントにも行かねーって話になった。
http://bar-rockaholic.jp/calendar/2013/03/chthonic_presents_battle_of_rh.php

ぶっちゃけ興味あったので、いつもより早く出社して昼休み返上して仕事して行くことにした。
こんなイベント行くのもきっとChthonicだから。他のバンドじゃ行かないと思う。

会場に来ているお客さんは男7:女3のイメージ。
個人的に男ファンが多いのがChthonicのいいところだと思う。

そして不思議な巡り会わせで、その日はWBCの日本VS台湾の対戦日。
WBC中継を流しながらイベントが進行するという、何とも不思議な感じで時間が進んだ。
基本的にメンバーはVIPルームにいるんだけど、ふらっと客のフロアに出てきて、お客さん達と談笑している。

最初は遠慮しちゃったけど、こんな機会ないしってことで、
フロアにいたジェシーとドリスに声をかけて、一緒に写真を撮ってもらった。
前日みたいに一言二言ではないけど、短い会話が出来て良かった。
ドリスさんを笑わせられたのは嬉しかった。

フレディは台湾のチャンスのときにフロアに現れて、台湾チームの得点に大喜び。
ソーリー、ソーリーって笑いながら叫んでて、お互い違うチーム応援してるんだけど、
和やかな雰囲気で会場の空気は作られていた。

この試合がまたとんでもない試合で、折角8回に日本が追いついたと思ったら、台湾が勝ち越しに成功。
勝ち越しの場面ではChthonicのメンバーが凄く喜んでいるのが見えた。
試合のクライマックスではもうイベント云々とか関係なく、野球観戦会になってた。

9回にはツーアウトからまさかの鳥谷スチール、井端のタイムリーで同点。
野球の試合でここまで興奮したのはいつぶりだろうってくらいに興奮していた。
そして延長では中田の犠牲フライで勝ち越し。結果日本の勝利。

会場が完全に一体になる神展開で、勝利の瞬間は凄い盛り上がりだった。
ロカホリのスタッフの方のおごりで、全員にテキーラが配られ、フレディの発声で乾杯。
「乎乾啦~」と台湾式で。フレディはちょっと残念そうだったけど、いい試合だったから満足だったみたい。

野球が終わったのが12時前くらい。メンバーはまたフロアに出てきたから、
ダニとCJとも一緒に写真撮ってもらった。
最終的には全員のメンバーとツーショット写真撮ってもらったことになる。

乙女みたいなことやってて、不思議だ。

店の外に出るとお客さんの中に混じってメンバーが普通に他のメンバーを待っている。
普通に飲み会の帰りみたいな感じで、なんか笑えた。あれだけ世界を渡り歩いているバンドなのに、
雰囲気はそこら辺の対バン形式でライブやっている1バンドみたいな感じだった。
対バン同士の打ち上げが終わったときの飲み会ってあんな感じだよなー。

最後にメンバーにサンキュー、ソニック!謝謝!と声かけて、自分のChthonic狂想曲は終わった。
ダニとCJは笑って手を振ってた。飲み屋帰りの別れ際みたいだった。


音楽も最高なら人柄も最高。愛すべき台湾のバンド。
ずっと応援するしかありません。
本当に不思議で、そして自分でも不思議な行動をしてしまった二日間でした。

あー楽しかった!

B004YVWJ6OTakasago Army
ソニック
ハウリング・ブル・エンター 2011-07-06

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Chthonic 「Quell the Souls in Sing Ling Temple」

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プロフィール

捕鯨船団

Author:捕鯨船団
1979年生まれ。
東京都町田市在住。
電子部品の技術開発に従事。

30超えにも関わらず、
楽器をドラムに替え、
学生時代以来のバンドを始めた
今日この頃。

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